文房具が思いっきり活躍する舞台を観劇しました。
野田秀樹氏の舞台「THE BEE」です。
劇中、大活躍する文房具の筆頭は鉛筆です。

『THE BEE』のパンフレット。ちょこんとのった素朴な鉛筆が意外な使われ方を…!
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活躍、と言っても、鉛筆役の役者が
カッコいいセリフを言ったりする訳ではありません。
この「THE BEE」という芝居の原作は、
筒井康隆作「毟りあい」という短編なのですが、
肉体を傷つける重要なシーンがあります。

舞台でこのシーンをどのように表現するのか?

もちろん血糊や特殊メイクで
真実味たっぷりに表現することもできるでしょうが、
この芝居で抜擢されたのは
文房具の代表格“鉛筆”なのです。
そして、その効果たるや!
素朴さが売りの鉛筆が
それはそれは身の毛がよだつような
痛みを見事に表現しています。
ど、どうやって?!

さあ、全国5000人(想像)のウレぴあ総研ビュアーの皆さんは
今、それぞれに鉛筆を使って肉体を苦しめる
こわーいシーンを想像していることでしょう。
でもここではお話しませんよ。
だって、ネタバレは野暮ですもの。
2012年の「THE BEE」は、この鉛筆以外にも
梱包用紙や輪ゴム、カッターなど、
おなじみ事務用品がふんだんに登場します。
それも事務用品としてではなく、
別の何かを表現する小道具として。
野田秀樹氏も、
「この作品ほど、身体とセリフとそして
 小道具が三位一体にならないと成立しない芝居もない。
 小道具を抜きでこの作品は語れない」

述べています。
どうです。大いなる小道具、文房具。
文房具抜きで演れない芝居。
鉛筆が「見立て」の主役となった稀なる舞台です。