ビックカメラやノジマも「電子棚札」を積極的に導入

【家電量販のDX・中】家電量販店の現場に「電子棚札」の導入が増えている。2020年は国内小売業でもデジタルトランスフォーメーション(DX)の展開が予想される中、電子棚札は人手不足の解消や店員の生産性向上を促すツールとして期待されている。しかし、まだ万全ではなく課題も抱える。その課題を考えるとともに、ビックカメラとノジマの最新の取り組みを紹介する。

「電子棚札」の課題とは

前回の連載で電子棚札を導入する意義やメリットについて触れた。詳細は関連記事を参考にしてほしい。

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家電量販のDX・上=https://www.bcnretail.com/market/detail/20200102_150984.html

電子棚札の課題はまず、価格が目立たないということがある。この点は、スマートすぎるが故の弱点になってしまう。特価感やセール感を演出するには、黄色や赤色のベタ地に価格を大きく表示して遠くからでも目立つようにする従来手法が有効となる。

19年6月にオープンした大阪・難波の「エディオンなんば本店」の売り場でも、電子棚札を採用するコーナーとそうでないコーナーにメリハリをつけていた。例えば、人気の高いスティック型掃除機の売り場では、実機と一緒に箱詰め展示したボリューム感とオープン特価のお得感を演出するために、従来型のプライスカードを使っていた。画面が小さい電子棚札は、ド派手感を演出するのは苦手だ。

同じように、調理家電の実演販売コーナーでも電子棚札ではなく従来のプライスカードを採用していた。顧客がその場で試食して美味しさを確認したり、簡単な使い方の説明を受けた後に、お得な価格に満足しながら購入する流れをつくっている。コーナー全体を盛り上げるのに、従来のプライスカードが一役買っているのがわかる。

家電量販店の中でも電子棚札の導入が早かった上新電機でも、夏場のエアコンや冷蔵庫などの目玉商品は従来型のプライスカードを使うなど、対象とする商品や売り場によって使い分けている。

逆に高級腕時計など、高単価な商品のコーナーでも電子棚札は使われない。価格が激しく変わらないこともあるし、価格を大々的にアピールすると高級感が薄れてしまうためだろう。高級腕時計の価格は、やはり控えめなカードに目立たなく記すのが流儀というか上品な感じになるのかもしれない。

課題も見えてきた電子棚札だが、改善するための取り組みも見られる。19年8月に横浜市青葉区にオープンした「ビックカメラ イトーヨーカドーたまプラーザ店」では電子棚札の価格を目立たせるように「お買得」やオススメの「第1位」などといった装飾を施す工夫をしている。ビックカメラも電子棚札の導入を経営方針の軸に据えている家電量販企業の1社だ。

年間設備投資額の15%を注ぐビックカメラ

ビックカメラは18年12月にオープンした小型店「ビックカメラセレクト京都四条河原町店」から電子棚札を実験的に採用。商品構成比の半分以上が非家電の小物商品が占めることもあり、導入による販売員の作業負担の軽減は大きかった。

19年2月にオープンした「ビックカメラ 町田店」を皮切りに中規模店でも全面的に導入を開始。10月の決算説明会では、ビックカメラ全店で電子棚札を導入した際の投資総額を60億円と見積もり、20年8月期は半分の30億円を充てると説明した。年間の設備投資額205億円の15%を占めるほどのインパクトだ。

ビックカメラの電子棚札は、ネット通販「ビックカメラ・ドット・コム」の「ネット取り置きサービス」と連動している点でも先進的だ。ネット経由で注文が入ると店頭の電子棚札のLEDライトが点滅する。販売員はその商品をピックアップしてカウンターに持っていく。ユーザーは会社帰りなどにカウンターに寄って取り置きしていた商品をピックアップするという仕組みだ。

つまり、リアル店舗がネット通販の自社物流センターの機能を兼ね備えることで、店頭商品の在庫回転率を上げることができる。まさに一石二鳥の効率的な売り上げの拡大が狙える。

オムニチャネルと連動する電子棚札

それだけではない。最新の取り組みでは、ビックカメラ・ドット・コムでユーザーが書き込んだレビュー件数を電子棚札に表示することで商品の人気度合いが分かるようになっている。

電子棚札にNFC(近距離無線通信)を搭載することで、ユーザーはスマートフォン(スマホ)をかざすだけでレビューが読める。ほかにも、商品スペックなどの詳細の確認や、購入したい複数商品の電子棚札を読み取ることで、商品同士の比較がその場でできる。

そして、店頭で商品の実物を確認してから、スマホでネット決済して自宅に配送するように指示することもできるし、店舗に取り置きをしておいて、ほかの買い物や用事を済ませた後にピックアップして持ち帰るといった使い方もできる。

まさに電子棚札は、ビックカメラのオムニチャネル戦略のど真ん中にあるわけで、ユーザーは今後ますます、ネットとリアルの垣根を意識することのない新しい買い物体験ができるようになるだろう。

伏兵のノジマは増税対応で計画導入

最後に、神奈川県が地盤の中堅家電量販店ノジマの業界を驚かせた事例を紹介しよう。同社はそれまでサブマリンのように潜伏しながら周囲に知られることなく10月18日に突如、184店舗全店で電子棚札を導入したことを発表したのだ。

その数は約140万枚に上り、電子棚札の画面サイズも売り場の商品に応じて1.6インチから7.4インチまで4種類を揃えた。

システム開発を請け負ったのはパナソニック子会社のパナソニック システムソリューションズ ジャパン。パナソニックは、電子棚札の世界シェアトップの仏SES-imagotagとアライアンスを組みながら小売り向けのソリューション事業を展開している。

ノジマの取り組みで特筆されるのは、10月1日の消費税率10%のアップに伴うプライスカードの変更作業を見据えた計画的な導入だったこと。実際に、増税当日の切り替え作業にかかる時間はほぼゼロだったことをアピールした。

赤と白の2色表示と文字表示が主流の電子棚札の中で、赤・黒・白の3色表示と文字表示を実現した。黒地に赤色の文字を入れるなどしてさらに目を引くように工夫している。先述した特価感やセール感の弱点を克服するように、セール情報が表示できるように改良した。

家電量販店のDXはまだ緒についたばかりだが、現場の売り場からはその変化や意気込みが伝わってくる。次回の最終回は19年に一気に家電量販店で導入が広がったキャッシュレス決済について見ていこう。(BCN・細田 立圭志)

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