ソニーが発表した試作車「VISION-S」のサイトがオープン

ソニーは1月7日、米国・ラスベガスで10日まで開催中の世界最大級の家電・IT見本市「CES2020」で新しい「移動」をコンセプトに据えた電気自動車(EV)の試作車「VISION-S」の発表と同日に専用サイトをオープンした。「プロトタイプ車両は将来のコンセプトを示したもの」との但し書きはあるものの、作り込まれたサイトでは詳細なスペックまで記載してある。ソニーが考える「未来の車」が明らかになった。

33個のCOMSセンサーで自動運転

サイトでは「クリエイティビティとテクノロジーで新たなモビリティの世界を切り拓いていく」と宣言。EVとしてのハードウェアの品質はもちろんのこと、安全性や快適性、エンタテインメント、ネットワーク接続によるデータの融合やソフトウェアによる進化など、新しい「移動空間」としてのコンセプトを掲げている。

安心・安全については「Safety Cocoon」というコンセプトで、車体の周囲360度をセンサーで見張りながら、車内空間で過ごす人に気配りしながら、運転や駐車をアシストする。車内外のセンサーには、ソニーの車載向けCMOSイメージセンサーなどを33個搭載し、走行時の安全を追求する。

センサーによる自動運転の精度はレベル2+相当で、自動走行や自動パーキング、自動車線変更などの運転をサポートする。ソフトウェアの更新で将来的にはレベル4以上の高度な自動運転を目指すという。

センサーの種類はサラウンドビューカメラ(前方/後方)やサイド電子ミラーカメラ、トップカメラ、フロントニアカメラ、フロントファーカメラ、ドライブレコーダー用カメラ、インナー電子ミラーカメラ、レアカメラ、超音波、レーザー、ソリッドステート式LiDAR(ライダー)などを採用する。

ミラーにもセンシング技術と映像技術を活用。目視よりも前にカメラセンサーが対向車や歩行者などをとらえてアラートを出したり、後続車のライトがまぶしくてもHDRを使った信号処理技術で明暗を調整したりする。

車内ではドライバーの表情やしぐさから集中や疲労度合いをモニタリングしながら、温度調節など快適な車内空間を実現する。

「疾走するエンタテインメント空間」を創出

エンタテインメントでは、5Gの普及と自動運転の技術の進化によって、車内がリビングスペースとなる「疾走するエンタメ空間」の創出を目指す。

没入感のある立体的な音場を実現する「360 Reality Audio」技術によって、シートごとに音場設定することで一人一人が好きな曲を聴いたり、あるいは全員で臨場感のある曲を楽しめる。

映像面では、車内幅いっぱいにワイドスクリーンが連なる「PANORAMIC SCREEN」技術を採用。直感的なUIでストレスフリーなコンテンツへのアクセスを可能にする。

ソフトウェアはネットワーク経由で常に進化し、例えば後部座席に寝ている人を検知すると温度を自動に調節して、好みの室温や音楽、ドライビング設定やルートなど、ドライバーや同乗者の好みをクラウドAIで学習し続けるという。

サイトではVISION-Sの主要なスペックも公開。全長は4895ミリ、ホイールスペースは3000ミリ、全高は1450ミリ、全幅は1900ミリ。車両重量は2350kg。

乗車定員は4人で全席に独立シートスピーカーを搭載。定格出力は200kW×2(フロント/リア)で4輪駆動。加速性能は4.8秒で時速100キロメートル、最高速度は時速240キロメートルとなっている。(BCN・細田 立圭志)