決めポーズ(ご本人いわく「演歌アタック」とのこと)

――そしてカップリングの『今は花』は最上川さん作詞・作曲ですね。

最上川:タイトルだけ見ると、「今がピーク」みたいな曲に思うかもしれませんけど、そうではないんです。もともと花火の歌を作りたくて。内容的には花火を見て過去を思い出すというか。

人生はいいことばかりではないですが、辛かったことや苦しかったことをひっくるめて「今がある」ということを自分自身常々感じていたので、そういった過去の種があってこそ、今現在咲くことができているということ。

なので、過去に感謝しなければならないという気持ちで作った曲です。

――ちなみに思い出深い故郷の花火大会はありますか?

最上川:山形も大きな花火大会は色々ありますが、僕の中で大事な思い出の花火大会がありまして。

碁点温泉の花火大会で、たぶん山形で一番最後にやっている花火大会になるのかな? 歌詞にある「夏の終わりの花火」なんですよ。

この碁点温泉の花火は、小さい頃から家族とよく行ってたんです。激しい花火ではなく、スローテンポで大きな花火が「ひゅ――――――んど――――――ーん」みたいな、ゆっくりした花火なんです。

僕はその花火が小さい頃から好きなんです。なんというか、しみじみと人生を振り返るみたいな、嫌な思い出も洗い流してくれるような花火大会だったと思います。

最上川司さん

――そしてこちらもカップリングの『会いたいよ』の作曲は、最上川さんがドラムをつとめているバンドのTHE MICRO HEAD 4N'Sのギタリスト、kazuyaさんですね。

最上川:kazuyaさんはバンドのリーダーでもあり、僕に演歌の道を勧めてくれた人です。神様のような人ですね。

その神様が作ってくださった曲で、この曲のサビを聴いたときに、僕の頭の中で雪が降ってきちゃいましたね。「これは雪の歌だな」って。

それで、学生時代に好きな人が南の方に引っ越しちゃったことを思い出したんです。故郷は雪が多いので雪風にのせて、その子に想いが届くようにという気持ちを込めて歌詞を書きました。

――最上川さんの曲は過去に想いを馳せる曲が多いですね。

最上川:そうなんですよ! でも、過去ばっかり振り返ってるわけでもないんですよ? 僕は「なぜ目は前についているかわかるか?」と聞かれたら「前を向くためだ!」って言いたいです!

――曲の中での話というか、最上川さんの演歌観みたいなものが、過去に思いを馳せること……ということなのかなと(笑)。

最上川:それはまさしくそうですね。青森出身の吉幾三さんも故郷を歌うことが多いですけど、やはり東北の人は故郷を歌いたくなるんでしょうか……?

東北は雪深いので外に出ずに家でじっとしてることが多いんですが、親や周りの人に大事にしてもらった気持ちがずっと残っているのかもしれません。

――演歌のヒット曲も細川たかしさんの『北酒場』や、石川さゆりさんの『津軽海峡冬景色』など北国をテーマにしたものも多く、門外漢の勝手な先入観なのですが演歌といえば北というイメージがあります。

最上川:もちろん南の歌もありますけれども、演歌って想いをうちに秘めることが多いから、寒いところの曲が多くなってしまうのかもしれません。いつかそういうお話を吉幾三さんともしてみたいですね(笑)。