NHKの大河ドラマ「真田丸」で、真田幸村(堺雅人)の兄で真田家当主の信之(大泉洋)と前正室、おこう(長野里美)との間に生まれた長男、信吉を演じる広田亮平と、正室の稲(吉田羊)との間に生まれた次男、信政を演じる大山真志。正反対の性格と体格を持つ兄弟の複雑な思いを語る。
-それぞれの人物像は?
広田 信政の方が大きいし気も強いので、押されています(笑)。信吉は弱いわけではないけど、普通の感性の持ち主なので、「なにゆえ剣術の稽古をせねばならぬのですか」というせりふもあるぐらいです。体力的、精神的に弱くても、弟をちゃんとなだめるという兄らしいところもあっていいバランスです。
大山 信政は力強い人間ですが、兄にコンプレックスを持っている。僕は正室の子なのに、(生まれが)一月しか違わないのになぜ兄が嫡男なんだとか。でも嫌いではないんですよね。人の上に立つ信吉とそれを支える信政という絵が見えてくればいいのかなと思います。
-剣を交えるシーンや殺陣はいかがでしたか。
広田 自分の方があまり動いてないのに、ずっと汗だくでした。なんだか信吉に似ているんです(笑)。周りの方からは「信吉らしくていい」って言われたのですが、けいこからの帰りに「男として俺は何をしているんだ」って(笑)。
大山 舞台で何度かやっていますが、映像は何回も撮り直すので筋肉痛になりました。
-お二人はちゃんと兄弟に見えますか。
大山 実年齢は、広田さんが19歳、私が27歳で年上ですが、あのかつらをかぶって、あの姿で会うと、お互いそんなに違和感なく演じられていると思います。
-それぞれのお母さんを演じる女優さんから影響を受けたことは?
広田 長野さんからは「ちゃんと信吉さんのお墓に行った方がいいよ」ってアドバイスを頂いて、群馬県まで一人で行ってきました。信吉の墓が向いている方向にちゃんと母上のお墓があるんです。
大山 吉田さんとはいきなり怒られるシーンで、そりゃもう怖かった。あの力強さや芯の強さは信政も受け継いでいるのかなと思います。
-共通の父である信之はいかがですか。
大山 父の言うことは絶対で、歯向かったことはない。従順ですね。
広田 信吉の陣の所に父上が来た時、信吉は心の安らぎを感じるんですが、「真田の総大将は信吉だ」と言われて内心がっかりするんです。信吉は戦場に出ることにはためらいがあるので、まだまだ父に頼るところがあったのかなと思いました。
-演じる大泉さんはいかがですか。
大山 あぐらをかいた時の礼の仕方を随分教わりました。襟は後ろに隙間が空いてはいけないみたいで。父上だなあと思いました(笑)。
広田 実は大泉さんとの共演は3回目で、前回も親子役でした。でもそこから11年ぐらい会わなくて、今回決まってお互いびっくり。すぐメールして報告しました。撮影で緊張していたら、「大丈夫だから」と温かくも重い言葉を頂きました。
-父とは袂を分かった幸村にはどんな思いがあるんでしょう。
大山 「嫌いだ、憎い」と思っているんですけど、憎み切れていなくて、幸村の器の大きさを目の前で体感した信政が最終回でどうなるのか楽しみです。
広田 信政が幸村のことを悪く言うのを「われらの叔父上だぞ」とたしなめるシーンがあるんですが、真田は分かれたとはいえ、そこはきちんと理解している。信吉らしいですよね。
大山 今の立場を貫くことしかできない信政は不器用。若くして分かっている信吉に嫉妬している。そんな構図です。
-“チーム真田丸”の一員になって、「真田丸」の見え方が変わったところはありますか。
大山 自分のせりふに誰かがせりふを返し、今この瞬間、「真田丸」が完成していっている、その場で作り上げられているという感覚が面白いです。
広田 大好きなドラマなので、真田家の人間として参加していることがうれしいです。でもこれからは自分もその一員だという気持ちをしっかり持って撮影に挑まなければと思っています。