シュリスペイロフ

オルタナティブ・ロックと叙情的な世界を両立させる唯一無二のバンド、シュリスペイロフが8thアルバム『遊園地は遠い』を2月5日(水)にリリースする。フロントマンの宮本英一(vo、g)に話を訊いた。

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前作『聞えた』から、宮本、野口寛喜(b)、ブチョー(ds)に加えて、渋谷悠希(g)を正式メンバーに迎え4人編成となった彼ら。これまで1年くらいのペースで作品を発表してきたが、本作は2年半ぶり。その理由を尋ねると「月に1回ライブがあって、“練習をしてライブをやって”というルーティンが続いて、いつのまにかライブだけやるバンドになってることにつまんなくなっちゃって。新曲をひねり出してセッションしたら楽しくて、メンバーも楽しそうで。“新しいものをみせていく”、それがないとお客さんもメンバーもつまらないんだなということがわかった」。アルバム・タイトルに込めた思いを訊くと「“遊園地”って希望とか、自分が辿り着きたい場所とかそういう意味で、辿り着いていない人たちの歌を歌っているなっていう感じがしたんです」

これまでも緻密で混沌としたディープなオルタナティブ・サウンドと、心に染みる切ない音世界を巧みに描いてきた彼らだが、その濃度を深め、研ぎ澄まされた10曲が収められている。「曲を作る上で、自分やバンドを変化させたいということではなくて、“自分らしくあろう”みたいなことをずっと思ってて、そこに向かっているというか」。オープニングを飾る『つまんないね』、ギターの絡みが秀逸な『ハミングバードちゃん』など前半はオルタナ全開、一転して6曲目の『絵と空の事』ではセンチメンタルな情感にグッと心を掴まれる。常に思い浮かぶ言葉をメモして、それを辞書みたいに開いて曲に当てはめるという作り方をしているという宮本。“天国”、“地獄”、“絶望”、“幸福”など、多様される言葉も曲によって全く違う意味を持つ歌詞が、彼ならではの余韻を放っている。アルバム最後に収められた『Daydream old dog』では、プロデューサー 山中さわお(the pillows)のアイデアで、彼らには珍しくアドリブらしいギター・バトルが展開され、プリプロの音源が採用されたという。

本作を携えて、3月からは過去最大規模のツアーも決定した。「新曲を昨年末のライブでも演って、演奏力とか“前とはちょっと違うぞ”っていうところも見せたいし、これまでのアルバムでライブでは演ってない曲も結構あるので、古い曲もうまく混ぜてやりたいなと思っています」とのこと。3月は山中さわお率いるCasablancaとの対バン、4月はワンマンで廻るツアーも必見だ。

取材:文/浅野保志(ぴあ)