ジャニーズ事務所所属の俳優・佐野瑞樹(兄)と、人気の演劇ユニット*pnish*(パニッシュ)リーダーの佐野大樹(弟)による兄弟演劇ユニット「WBB」。2011年の結成以来、11作目となる「スペーストラベロイド」が3日から東京都内の赤坂RED/THEATERで上演されている。本作は、2050年代の近未来を舞台に、アンドロイドと行く宇宙旅行「スペーストラベロイド」の最終テスト飛行のために、スペースシップに乗船した乗組員や新婚夫婦、テレビの取材クルーたちが繰り広げる、うそと勘違いと笑いに満ちたワンシチュエーションコメディー。「WBB版新喜劇」をうたう舞台について二人に聞いた。
-公演の奇数回は瑞樹さん(Side-W)、偶数回は大樹さん(Side-B)が企画を担当していて、今回は瑞樹さんの番でした。宇宙をテーマに選んだ理由を教えてください。
瑞樹 演劇集団イヌッコロの「スペーストラベロイド」を見た時に、宇宙やアンドロイドという突拍子もないモチーフがおもろいなと思いました。最近は、Side-Wの特徴のワンシチューエンションという基盤にエッセンスを求めるようになり、前回はサスペンス要素を入れました。今回はばかばかしいものをやりたくて、これなら世界観がぶっ飛んでいて、リアルにならずに思い切りイケると思ってセレクトしました。
-ありふれた日常ではなく、未知なる世界である宇宙をベースにしたことで取り組み方も普段とは違いましたか。
瑞樹 絶対的なルールとして、宇宙に行くことは非日常のすごいことなので、日常のテンションではやらないことを決めました。普通のやりとりでも、「えっ?」じゃなくて「えっ~!?」とハイテンションに。だから、全員の合言葉は「疲れなかったら駄目」でした。
-客席から随所に笑いが起こる楽しいステージですが、演じる側として苦労したことはありますか。
大樹 ストーリーは勘違いの応酬なので、今、話題の中心にいる人物がどこにベクトルを向けているのか? それをお客さんに分かってもらうために誰がどう動くか? ということはみんなで考えました。
瑞樹 うん。お客さんに分かるように僕らがきちんと提示しなければね。でも稽古では途中で自分たちが混乱して、「1回整理させて」というのは、みんなちょいちょいありました(笑)。
-芸人のパンチ浜崎(ザ・パンチ)、児玉智洋(サルゴリラ)、技巧派の細見大輔、若手注目株の大久保聡美など、多彩なキャスト陣と作り上げた本作の一番の見どころはどこですか。
瑞樹 いつも通りの“上質のコメディー”は外さないようにしつつ、今回はパワー押し。エネルギー全開で汗をかきまくり。全員がフルスイングでホームランを狙っているので、その必死なパワフルさですね。(むちゃぶりで)児玉さんに非常に責任を背負わせている、今までにないアドリブコーナーも楽しんでください。僕自身こういう経験はあまりないので、いつも以上の期待と不安でワクワクドキドキしています。
大樹 「WBB版新喜劇」なので緊張感はハンパないですが、僕たちも若い役者も、例え観客の笑いとせりふがバッティングしても、最後列のお客さんにも聞こえるような熱量で戦ってきたので、そのエネルギーを感じてほしいです。あと、自分で言うのも気持ち悪いですけど、(瑞樹と)二人のシーンもなんとなくあります…。
瑞樹 最後のシーンだね。自分はそこに全てを懸けている感はあります!
-先日、7年後には1400万円で宇宙旅行に行けるかも…というニュースが流れましたが、興味はありますか? また、現実的にいくらまでなら払えますか?
瑞樹 月も見てみたいけど、やっぱり地球を生で見たいですね。1000万円は出せないけど、500万円なら出せます。
大樹 1400万円なら頑張ってためたくなりますよね。今は資金がたまっても僕に(順番は)回ってこないだろうけど、50年ぐらい待って行けるなら、生の地球とか宇宙の端を見たいです。90歳近くなるけど、そのころにはG(重力)もなくなって、宇宙でも体が耐えられるようにならないかな…。ただ、200万円でお願いします!(笑)。
(取材・文・撮影:錦怜那)