戻って『孔明のヨメ。』は、芳文社の「まんがホーム」に連載中の4コマ漫画です。作者は杜康潤氏。なぜか自画像がメガネをかけた犬なのですが、三国志の大ファン。『鋼の錬金術師』『銀の匙 Silver Spoon』の荒川弘氏と組んで、コーエーから『三国志魂(上・下)』を3月28日に発売。またスクウェア・エニックス社から『杜康潤のトコトコ三国志紀行』を6月22日に発売しています。タイトル通り、もちろんどちらも三国志をテーマにした作品ですが、今回は紹介までに。
『孔明のヨメ。』の主人公である黄月英。この“月英”は後世に付けられた愛称のようなものです。父親は荊州の河南(中国内陸部の都市、黄河の南にあることから)に住む有力者である黄承彦、そして夫は三国志のヒーローの一人、諸葛亮孔明であっても、女性であるために、黄月英本人について直接表記された部分は少ないのは避けられません。
よく分かっているところでは、“頭は良いけど、ブサイクだ”と。『なんてひどい事を!』と思われるかもしれませんが、父親の黄承彦が孔明に紹介する時に、そのように言っているのですから、否定はしがたいところなのでしょう。そうして「孔明の嫁選びを真似るな、阿承(黄承彦)の 醜娘を嫁に貰うことになるぞ」の噂が広まってしまいました。
ただこうした中で反論が出てくるのも世の常です。月英の外見は“赤い髪”に“色が黒い”とされています。そこから「実は中央アジア辺りの生まれで、黄承彦が養女にしたのではないか」や「自分の才覚を必要としてくれる人を探すために、わざと顔に墨を塗っていた」などの説も語られています。当時の美人は色白黒髪がスタンダードでしたから、多少肌が色黒でも不美人になってしまうでしょう。また赤い髪も、血のような赤色もあれば、『赤毛のアン』のようなオレンジ色もあります。もしかしたらブロンドヘアーでも、赤毛にされてしまったのかもしれません。
漫画の中ではどう表現されているかと言えば、赤茶の(寝起きで爆発する)クセっ毛、(外で作業をしていることから)日焼けした肌、
大きい目、低い背丈、つるっぺたの体型、となっています。また学問や兵法や発明には興味はあるのですが、当時の女性に必須とされていた家事、機織り、楽器などは苦手としています。しかも男装をすると、まるで男の子。それと知らずに道を尋ねられた孔明も『弟の友達かな?』と思ったくらいです。