主人公の矢田部研吾を演じた綾野剛

 映画『武曲 MUKOKU』の完成披露試写会が15日、東京都内で行われ、出演者の綾野剛、村上虹郎、前田敦子、風吹ジュン、小林薫、柄本明と熊切和嘉監督が舞台あいさつを行った。

 藤沢周氏の『武曲』を映画化した本作は、父の教えに背き、剣を捨てた矢田部研吾(綾野)と、天衣無縫の高校生・羽田融(村上)との宿命の対決を軸に、“父と子”“師匠と弟子”といった絡み合う人間模様を描く。

 クランクイン前に、2カ月間のフィジカル特訓や剣道の練習に励んだ綾野は「発想が完全にアスリートなのですが。アルコールも一切摂取せずにやっていたので、そのフラストレーションがきっちり作品の中で出せました」と語り、照れ笑いを浮かべた。

 一方、マイクを手に、かみ締めるように、一拍置いてから語り出した村上は「こんなに最高の役に出会えてうれしかったです。その時の緊張の高まりが今、来ています。こんなに最高にかっこいい映画は、特に日本では見たことがありません」と言い切った。

 綾野と村上が豪雨の中、泥まみれになりながら竹刀と木刀でリアルに斬り合う圧巻のシーンについて村上は「プレッシャーはなかった。あの時は、融という役がいれば僕は無敵だと思っていました」と語った。

 村上は、綾野に原作を読むことを薦められ、演じた融役に興味を持ったという。綾野は「薦めたって言ったけど、半分企てていて。僕は脚本を読んで映画化のことも知っていたけど、本人(村上)は知らなかったので。『この作品に出てくる融って役が虹郎にすごく似ていると思うな~。読む?』みたいな」と“誘導”した背景を明かし、それに対して村上が「『この役、やってみたいっす』って言っていたので、大丈夫だなという感じで」と満足げに振り返った。

 映画は6月3日から全国ロードショー。