加藤登紀子
緊急事態宣言は解除されたものの新型コロナウイルスの影響は未だに続き、イベントやコンサートは再開できず、ライブエンタテインメント業界には試練の時が続く。そんな中、歌手の加藤登紀子が6月28日の渋谷オーチャードホールでの公演再開を発表した。自身も3月末からの約2か月間で30ちかくの公演が中止・延期になり、強い想いがあっての決断だ。
「本当に心配し、迷いました。1度は無理、とも考えていましたが、可能な条件が見えた限りは、開催するべきだ、と奮起した次第です」
開催にあたっては東京都のロードマップに従い、条件の「50%以内の収容率」と「上限1000人」を遵守しての開催となる予定だ。本来のオーチャードホールのキャパシティーは約2,000人のため、ちょうど半分程度の稼働となる。加えて、客席は前後左右を1席ずつ空けた市松模様型の着席となるほか、入場の時の検温や消毒の対策など、感染拡大の対策に万全を期す。客席を減らしたことによる収益減に対しては、同日公演の有料オンライン配信やスポンサーの呼びかけなど、今後のコンサート継続のためにも、方法を模索しているという。
「YouTubeでアップした日から、たくさんの感想が寄せられ、反響の大きさに驚いています。コロナ感染と言うトンネルを超えた時、この困難を乗り越えようと力を合わせた強い絆が、コロナ後を生き抜くための大きな宝物になって行くと思います」
歌手生活55周年、長年音楽業界に携わってきた「おときさん」ゆえの決断は、ほかのアーティストたちを導く道しるべとなるだろう。
取材・文:三田寺総司
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