東映が送る映画と舞台の連動企画「東映ムビ×ステ」の第2弾『死神遣いの事件帖』の舞台「死神遣いの事件帖-鎮魂侠曲-」が7月23日から上演される。映画に続いて上演される舞台では、映画のその後を描いた、侠客・新之助と死神・十蘭を中心とした新たな物語が展開する。新之助を演じる崎山つばさと十蘭役の安井謙太郎、死神・百目鬼役の陳内将に舞台への意気込みを聞いた。
-映画に続いて同じ役柄での舞台出演となりますが、最初にこの企画を聞いたときにどう感じましたか。
陳内 キラキラした、今を代表する役者さんがたくさん出演されるということを聞いて、これは強いコンテンツになるぞ、というのが最初の印象でした(笑)。映画の主演の鈴木拡樹くんもそうですが、実力のある方がたくさんそろっているので、撮影も、そして舞台も楽しみでした。
崎山 僕は、映画と舞台の連動という企画は初めてのことだったので、新鮮な気持ちでした。映画を見た後に、舞台でその作品の続きが見られるというのは、これまで舞台に触れる機会がなかった人にとっても、劇場に行く絶好の機会になると思います。映画を見た人が舞台も面白そうだなと思ってもらえるような作品にしようということは最初から考えていました。
安井 僕は単純にうれしかったです! とても豪華なキャストさんがそろっていたので、しっかりやらないと、と思いましたし、皆さんに頼れるという安心感もありました。
-映画は、鈴木拡樹さん演じる幻士郎と安井さんが演じる十蘭が、ある女性の捜索を頼まれたことから、「遊女連続殺人事件」に巻き込まれていくというストーリーでした。完成した映画はいかがでしたか。
崎山 自分が出演しているからではなく、一視聴者としても楽しめる作品だと思いました。時代劇ではあるのですが、現代風にアレンジされていて、ファンタジーでもあって、特撮の要素も加わっていて、面白い作品になっていると思います。
安井 本当に、いいとこ取りの面白い作品だと思います。殺陣もすごく格好良かったです! 僕は、(映画では)殺陣のシーンでは“刀”になっていたので(笑)、どんなふうになっているのか知らなかったんですよ。迫力があって、とにかく格好いいシーンだったので、ぜひ見てもらいたいです。
-殺陣といえば、映画に続き、舞台も栗田政明さんがアクション監督を担当されるそうなので、舞台も高度で派手な殺陣になりそうですね。
陳内 そうですね。僕は映画でも殺陣のシーンがあったので、撮影前に栗田さんの行っているアクションの練習に行ったんですが、あまりにもハードで、50分ぐらい稽古したら筋肉痛になりました(笑)。
-舞台では、崎山さんも殺陣のシーンが多そうですね。
崎山 そうですね…でも、(安井も)やりたいって言っていたんで。
安井 いやいやいや(笑)。僕は刀なんで刀になるだけで十分です!(笑)
-ところで、舞台では、映画では描き切れなかった、それぞれのキャラクターのバックグラウンドも描かれます。今現在、どう演じたいと考えていますか。
陳内 百目鬼が持っている死神論や美学というものは、舞台を通して最初から最後までブレません。ただ、映画を見て感じた印象からは2度、3度転じていくと思うので、それをうまく表せたらと思っています。(演出・脚本の)毛利(亘宏)さんの期待が詰まった台本なので、芝居で超えていきたいです。
崎山 新之助は、(映画で)幻士郎と十蘭の関係を見てきていて、百目鬼とも一瞬ではありますがマッチアップしています。その新之助が舞台で2人とどう絡んでいくのかというのは、お客さんも楽しみにされているところだと思います。僕自身は、新之助をどう演じるのかというよりも、まずは、舞台を見に来てくださった方が面白いと思ってもらえる作品を作りたいという思いが一番強く、キャラクターについては今後の稽古を通して改めて作っていきたいと思っています。
安井 十蘭は映画のときとは大きく状況が変わります。ですので、必然的に演技も変わってくると思いますし、舞台では十蘭を深堀りしてもらっているので、彼の心の深いところまで見せられたらと思っています。
-十欄は、映画では幻士郎とタッグを組んでいました。幻士郎とのタッグでは、どんなことを意識して演じていたのですか。
安井 監督から「映画の冒頭から、連ドラの最終話みたいな関係性がいい」と言われたので、それは意識しました。映画を通して仲を深めるのではなく、最初から「これまでにも大なり小なり、こうした事件を解決してきた」という距離感。べったりとした仲良しではないけれども、互いに信頼感を持っている関係性です。それは、十蘭が幻士郎の父親ともタッグを組んでいたからこその距離感でもあると思うので、新之助との関係性は幻士郎のそれとは大きく変わってくると思います。舞台を通しても新之助との関係性は変化していくと思うので、物語の最後に2人がどういう関係になっているのかを楽しみにしてもらえればと思います。
-改めて、公演を楽しみにしているファンの方へメッセージを。
陳内 今回の舞台が、役者にとってもスタッフさんにとっても、お客さまにとっても、この2カ月以上を我慢したご褒美となる作品になればいいなと思っています。限りある席数になってしまいますが、この作品が皆さまに届いたときに、それがご褒美になるよう、僕たちも楽しんで演じさせていただきますので、ぜひ楽しみにしていただければ。
安井 今はできないことも多い状況ですが、だからこそ、新しい可能性を発見できるときでもあると思います。どんな形であっても、この作品がお客さまに届けられること自体が僕にとっては幸せですし、それに全力を注ぎたいと思います。
崎山 役者たちはみんな、舞台に立ちたいという思いがありますし、お客さまも舞台を見たいと思ってくれていると思います。今は、無事に初日を迎え、千秋楽まで走り切れると信じて、皆さまに素晴らしいものをお届けできるようにという思いで作品を作っていきますので、皆さまもそれを信じて待っていてくださればと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
舞台「死神遣いの事件帖―鎮魂侠曲―」は、7月23日~8月2日、都内・サンシャイン劇場ほか、大阪、福岡、広島で上演。
公式サイト https://shinitsuka.com