現在ロンドンオリンピックの真っ最中です。形骸化しつつあるとは言え、基本的にはオリンピックはアマチュアスポーツの祭典。だからどんなに活躍しても生活は苦しい、なんて裏側が垣間見えるどころか、ニュースになることもあります。話題になったところをあげれば、マラソン代表の藤原新選手でしょう。かつては企業に所属していたこともありましたが、フリーになっても競技を続け“無職のランナー”と呼ばれました。しかし東京マラソンで好走し、日本代表になったことで注目が集まります。そして自ら会社を立ち上げると共に、いくつものスポンサーを獲得しています。
「好きなことをやっていれば、生活が苦しくても良いじゃないか」なんてブラック企業同然の言葉もありますが、人間は仙人じゃないので霞を食べて生きていけるわけがありません。夢を追っても現実と向き合わなくてはいけないことが多々あります。
「ゲームが好きだから、ゲーム会社に入る」
小学生が言ったのなら、笑って「頑張れ」と言えるでしょう。
しかし失業中の身でそれを言ってたら、
「何を考えとんねん!」と頭のひとつでも叩かれるかもしれません。
そんな形で始まるのが、幻冬社の月刊コミックバーズで連載中の『大東京トイボックス』(うめ)です。主人公は上から呼んでも、ももだもも。下から読んでも、ももだもも、の百田桃さん。大阪出身で大学を卒業後、専門学校でゲーム制作を学ぶも、実地経験が無いことからゲーム会社への就職に連戦連敗。くじけそうになったところを、弱小ゲーム会社のG3にアルバイトとして拾われるところから始まります。
ただし講談社の「週刊モーニング」で連載されていた『東京トイボックス』(うめ)なる前作もあります。こちらも弱小ゲーム会社のG3の話なのですが、会社を立ち上げた社長の天川太陽と、そこに左遷されてきた有能OLの月山星乃さんがメイン。弱小ゆえに、大手に振り回されるは、資金繰りに苦労するは、人手も足りないはと、ブラック企業真っ只中。それでも苦しいなりにもなんとか切り抜けていき、会社を立て直していく……と思ったところ、コミックス2巻分で打ち切り同然に連載が終了してしまいます。アンケートは良かったようですし、いろいろなところで話題にもなってました。それでもコミックス1巻発売時には、連載終了が決まっていたようです。編集側の大人の事情なのでしょう。
でもまぁ神ならぬ、“捨てる紙(雑誌)あれば、拾う紙(雑誌)あり”で、月刊コミックバーズにて“大”がついての新連載となりました。最近の「週刊ゴラク」を読んでいれば分かるかもしれませんが、かつての人気漫画の続編が別の雑誌に掲載されるのはよくあることです。前回書いた『サイボーグ009』も同様でしょう。しかしコミックス2巻で終了した作品が拾われるのは、なかなか珍しいことだと思います。