漫画はゲーム制作を通して、否が応でも天川、月山、そして百田達のG3は、ソリダス・ワークスに関わらざるを得なくなっていきます。そこで重要になってくるのが、表現の規制です。『東京トイボックス』でも、ゲームを海外版に移植する時に、ハーケンクロイツと間違いやすい卍(まんじ)やエッチな描写を修正する作業がありました。また『大東京トイボックス』でも、早々にミニゲームの鼻血が引っかかりました。
過激な描写が問題になるのは、ゲームに限らず、アニメやドラマでも同じですが、過剰なまでの自主規制は、制作意欲を阻害し結果として作品の出来不出来にまで影響を与えます。ちょっとでもアイデアを通したいと考える制作側と、問題点は少ない方が良いと考える(制作内部の)規制側。規制側を「事なかれ主義」と言ってしまうのは簡単ですけれども、営利企業である以上、リスクマネジメントを考えるのは当然です。問題が起きてからでは、対策に人手もお金も余分に必要となるからです。ある意味では、これも魂のぶつかり合いと言えます。そして会社であるからには、営業の魂もあれば、経営の魂もあります。どの魂が勝つかは、今後の連載を待ちましょう。
ひと頃程ではありませんが、ゲーム業界はまだまだ人気のある業界です。しかし華やかなのは、ほんの表面だけ、天川、月山、百田が勤めるG3のような下請け弱小メーカーがひしめき合っています。いつだったか国がコンテンツ産業を育てていくようなことを言っていましたが、財政難もあって、ほとんど動きは取れていません。夢だけでは食べていけないのは、先に書いた通りです。ただ夢の無い人生はつまらないのですが。
そして毎年行われている「マンガ大賞」で
『大東京トイボックス』は2012年(つまり2011年作品)にて、『銀の匙 Silver Spoon』に続いて投票2位となりました。
漫画原作のドラマが映画があふれている中で、『大東京トイボックス』も間近なのかと思っていたのですが、そうでも無いようです。
こちらも作者ブログ「難民チャンプ」で以下のように書かれています。
『 大 東 京 ト イ ボ ッ ク ス 』
ア ニ メ 化 、 ド ラ マ 化 、 映 画 化 な ど 、
現 時 点 で 動 い て る 企 画
い っ さ い ご ざ い ま せ ん !
「どうせ話きてるんでしょ?」と斜に構えていたそこのアナタ!
これが驚くほど、きてませんヨー。狙い目ですヨー。
その他各種企画、ウェルカム、かつ、
ちょー前向きに検討するので、いますぐご連絡を。
(2012年4月2日「マンガ大賞2位/大東京トイボックス8巻発売/映像化のお話」)
「M-1グランプリ」では2位になった出場者が、その後に優勝者を差し置いてヒットするなんてこともあるようですが、「マンガ大賞」では、そうも行かないようですね。ただ過去の大賞受賞作品で映像化され、かつヒットしているのは『テルマエ・ロマエ』(ヤマザキマリ)くらい。ノミネート作品では、第1回(2008年) の『大奥』(よしながふみ)、『もやしもん』(石川雅之)、第2回、第3回に2位の『宇宙兄弟』(小山宙哉)、 第4回ノミネート作品 の『花のズボラ飯』(久住昌之、水沢悦子)、『主に泣いてます』(東村アキコ)と、映像化(予定含む)された話題作品があります。すると映像化されるには、別な要素や運が必要なのかもしれません。
ならばこの作品にもチャンスがあるのかもしれませんね。ブログを読んで動き出した筋があれば良いのですが。それでも『東京トイボックス』『大東京トイボックス』で引っかかるところがあるとすれば、世界観でしょうか。現場の裏側を描く作品は、視聴者の興味を引くところではありますが、必然的に生々しさがついて回ります。と言って変に捻じ曲げては、原作の面白さが台無しになってしまいます。“ミカパン(三日はき続けのパンツ)”や“イツパン(五日はき続けのハンツ)”の下りは、ぜひ使ってもらいたいです。
立場の異なる男と女が社会で……の形は、フジテレビ系列で放送中、小栗旬と石原さとみ主演の『リッチマン、プアウーマン』と似ていると言えなくもないでしょう(かなり苦しいです)。しかし月山さんや百田さんはともかく、天川を誰が演じるかは難しそうです。どう考えても3枚目の“むさい”キャラクターですから。むしろライバルの仙水なら、簡単に決まりそうです。原作の良さを生かす方向で映像化が叶いましたら、ぜひ見てみたいものです。
【関連サイト】
うめ公式サイト[難民チャンプ」 [https://www.chabudai.com/]
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