「得意な料理がある」と「料理が得意」ってのは全然違います。後者の方が幅広いのは、言うまでもないでしょう。それでは「料理」と「炊事」はどうでしょうか。なんとなく違う気がします。言葉の意味合いとしては、大差ないんですけどね。「炊事」の方が、より家事に密着している感じでしょうか。つまり家計や時間などの枠があって、料理が炊事になるのかなと。更に言うならば、食材を無駄なく使うスキルが欲しいところです。そこで出てくる必殺技が“あり合わせ”や“間に合わせ”です。

秋田書店の「エレガンスイブ」などで好評連載中の漫画が
『花のズボラ飯』(原作:久住昌之、作画:水沢悦子)です。
主人公は駒沢花(こまざわ はな)、30歳。大好きな夫のゴロさんが単身赴任で子供もいないため、本屋のパートをしつつアパートにて一人暮らしをしています。慎ましやかに夫の留守を守る……のなら良いのですが、現実はうまく行きません。片付けや掃除はしない、洗濯もためっぱなし洗って乾かしても山盛りのまま。まさに“汚部屋(おべや)”の言葉がぴったりくる状況です。

ゴロさんが一緒ならそんなこともないんでしょうね。ゴロさんが単身赴任から戻ってくることを聞くと、花さんは必死になって片付けをします。事前に分かってよかったですね。もしサプライズとかで、ゴロさんが突然帰宅したらどうなるのか。漫画の中に直接、ゴロさんが登場することはないのですが、花さんの言葉から、ゴロさんがしっかりした性格らしいことを推測できる場面が少なからずあります。花さんのだらしなさに怒ったゴロさんが即離婚、とはならないにしても、大きなショックを受けることは間違いなさそうです。そんな花さんですが食べることは大好きです。さしたる趣味も無いようなので、食べることが趣味だったり、ストレス解消の手段だったりするのかもしれません。

そこで出てくるのが、題名にもある“ズボラ飯”です。