『ナサケの女』では、東京国税局における役職がかなり分かるキャスティングになっていたので、ざっと書き出してみよう。

まず、柳葉敏郎が演じていたのが査察部長。査察部の中のトップで、キャリア組。隠語ではイチバンと呼ばれている。長谷川朝晴が査察部次長で、ニバントウカツと呼ばれる情報部門の統括官は、泉谷しげるが演じていた。ただ、泉谷しげるは『トッカン』の初回で税金を滞納してしまい、自殺未遂までするという波乱の人生を送っている。

飯島直子が演じていたのは、情報部門の主査。隠語では主査の「主」からヌシと呼ばれている。チーフ主査は小市慢太郎。そして、情報部門の査察官として、米倉涼子のほか、塚本高史、鈴木浩介、ITに強い査察官で夕輝壽太などがいた。あと、ソウカツと呼ばれる実施部門の総括主査を演じていたのが勝村政信。実施部門は、情報部門が内偵した案件を実際に強制調査する部署で、実施の「実」からミノリと呼ばれている。

『チェイス』も東京国税局を舞台にしたドラマで、主演は江口洋介。春馬草輔という役名で、査察第20部門に所属していた。チーフと呼ばれていたので、もしかしたら役職はチーフ主査だったのかもしれない。このドラマでは、情報部門・実施部門という言い方はされていなくて、内偵班と実施班だった。内偵班は「8階」、実施班は「9階」と呼ばれていたが、この隠語はドラマのオリジナルだったと思われる。査察部次長は奥田瑛二、統括は益岡徹、ITに強い査察官は田中圭が演じていた。脱税のやり方は日々巧妙になっているので、査察部にはたいていIT関連に詳しい査察官がいるのだ。

『チェイス』が面白かったのは、査察部が追う脱税する側の人物を、プロフェッショナルとして丁寧に描いたこと。しかも、通帳や印鑑、現金などをどこかに隠すというようなものではなく、「レバレッジドリース」「イミテーション・ゴールド」「パーマネント・トラベラー」「コーポレイトインバージョン」などを使った脱税スキームを構築し、徹底的に納税を逃れようとするやり方まで描いたことだ。敵が強いからこそ、査察の執念が際立つという部分もあった。

脱税のプロフェッショナル・村雲修次を演じたのは、今は井浦新という表記で月9の『リッチマン・プアウーマン』にも出ているARATA。村雲修次がそこまでの悪になったのは、母親に原因があるのだが、その母親はりりィが演じていた。りりィは『トッカン』で泉谷しげるの妻となり、やっぱり税金を滞納していた。ちなみに、江口洋介が演じる春馬の情報屋として登場した元記者を演じていたのは、岩松了。彼はその調査能力を活かしてか、『トッカン』では税務署の署長にまで出世している。