10月12日までのインバウンドの消失に関連した破たんは計75件に

東京商工リサーチは、新型コロナウイルス感染症に関連する破たんのうち、インバウンド需要の消失をおもな原因とする破たんが、10月12日までに75件(12.9%)に達したことを10月13日に発表した。

調査によれば、需要のピークとなるはずだった中国における春節の大型連休に多くの中国人団体ツアーがキャンセルとなり、ダメージを受けた宿泊業者が多く、3月・4月に宿泊施設やホテル運営受託業者を中心に破たんが続出し、4月に最多となる20件が発生している。以降も、インバウンド需要は回復せず、7月の2件を除いて月間10件前後発生し、10月も12日までに1件発生した。

業種別では、ホテル旅館など宿泊業者が最も多い26件(34.6%)で、宿泊施設の運営受託のみを手掛ける業態や関連サービスなど7件を含めると宿泊関連サービス業の破たんが33件(44.0%)となっている。

他の業種では、百貨店の不振や訪日客向けに和装や和物を取り扱っていた業者などのアパレル販売が9件(12.0%)、ホテルなどから受注が落ち込んだ食品関連(卸、製造)が8件(10.6%)、外国人観光客の来店が一定割合を占めていた飲食業者が6件(8.0%)などが続く。

インバウンドの消失に関連する破たんのうち、負債額が判明している73件では、負債1億円以上5億円未満が最多の33件(45.2%)で、10億円以上が14件(19.1%)、5000万円以上1億円未満が11件(15.0%)と続き、5億円以上が23件(31.5%)に達した。新型コロナウイルス感染症に関連する破たん全体では、負債5億円以上が16.7%にとどまっていることから、インバウンド関連破たんは中堅企業に多く発生していることがうかがえる。

従業員数(判明しているのは71件)では、従業員20人以上が23件(32.3%)で、新型コロナウイルス感染症に関連する破たん全体の同一レンジ構成比よりも13.3ポイント高い。また、インバウンド関連破たんの従業員総数は2838人で、新型コロナウイルス感染症に関連する破たん全体の従業員数(1万805人)の26.2%を占めている。

形態別では、倒産した70件のうち破産が58件(82.8%)で最も多く、民事再生法の8件(11.4%)がこれに続く。民事再生法では7件がホテル、旅館などの宿泊や旅行関連サービスで、うち6件は負債5億円を上回る中堅規模の破たんだった。

地区別では、関東の21件(28.0%)が最多で、近畿が19件(25.3%)、中部が11件(14.6%)、中国と四国が各7件(9.3%)、北海道が5件(6.6%)、東北が4件(5.3%)、四国が1件(1.3%)となっている。

都道府県別では、東京都の17件(22.6%)が最も多く、大阪府の10件(13.3%)、北海道の5件(6.6%)、兵庫県の4件(5.3%)、長野県・静岡県・愛知県・京都府・山口県・福岡県の各3件(4.0%)が続いている。