日本最大級のファッション通販サイト『ZOZOTOWN』では、ユーザーの約半数を30代以下の世代が占めている。その中でも、25-30歳のプレッシャー世代は大きなボリュームを占めており、同社のマーケティングにおける重要度も高い。
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「現在のプレッシャー世代はライフステージの区分で言うと、『自分のための買い物』に最も多くのお金を使える世代です。10代の頃から培ったモノを見る目も熟していますし、自分に似合う服も自覚しています。この世代の特徴は、周囲に同調してモノを手に入れようとするのではなく、『自分の価値観と照らし合わせて良いと思えるモノ、必要なモノ』を厳選して購入する傾向が強いことだと思います」

ワクワクしながらモノを買いたい

では、安くて丈夫、かつ無難に良質なモノならば、それで良いのかというと、そうはならない。そこそこの品質で安い値段というマーケットは、すでに100円均一などに押さえられてしまっている。一方、ZOZOTOWNは1900以上のブランドを取り扱う巨大な通販サイト。高品質なアイテムを原則として定価で提供している。

「ZOZOTOWNのお客様は、数万円のシャツやデニムをご購入なさっています。量販店に2000円の廉価なデニムが溢れる中、自分が良いと思った3万円の良質なデニムをご購入くださるお客様の心を僕なりに考え、仮説を立てました。それは『お客様は、単に洋服を購入しているのではなく、洋服の購入を通じて、良質な体験を買っているのではないか』というものです」

小高さんによる仮説はこうだ。自分が良いと感じる良質な服を着て、デートをしたり、遊びに出かけたり、アミューズメントパークに行ったりするほうが、よりワクワク感の大きいスペシャルな体験になる。服を買う際、その服を着て出かけるときのこともイメージして買い物をしている、ということなのだ。

「これはファッションに限った話ではありません。たとえば食器でも安いからという理由だけで買ったモノよりも、陶芸市に行って作家と話しながら自分で選んで買ったモノの方が愛着を持てる。このTシャツを着てどこへ行こうか、それは楽しいだろうなと想像している。そのモノを所有したとき、自分はどれくらいハッピーになれるのか、そのハッピーはどれくらい続くのかということをイメージした上で、購入しているということです。そしてそのような基準でモノを選ぶ能力が特に高いのがプレッシャー世代を含む、30歳前後の人々だと思います」

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