2大ファッションブームの洗礼

ZOZOTOWN利用者の平均年齢は30.5歳、ユーザーの多くはまさにプレッシャー世代。上の世代と比べて、服やファッションアイテムの買い方に、世代的な特徴はあるのだろうか。

小高さんはまず、世代を超えた男性消費者の特徴としてコレクション癖を挙げた。ひとつのブランドにハマると、それをずっと買い続ける傾向があるということだ。

その上で、世代による違いとして、30代半ば以上の世代では「ブランドネーム」を重視する傾向があるのではないか、と小高さんは言う。例えば、高級外車に乗ることがステータスであれば手に入れたいと思うなど、「ブランド」に価値や魅力を感じ、そこに投資する。

一方、プレッシャー世代を含む30代半ば以下の世代は、「モノそれ自体」を見て、自分に合っているかどうかを第一に考えつつ、本当に必要か、そうでないかも含めた「選択」を繰り返してきたという。

「もし似たようなモノに出会って、どちらか一方を選ぶという判断を迫られたら、『どの店で、誰から買うのか』『誰がデザインしたのか』『他のアイテムとは何が違うのか』などを考えて買い物をする傾向が強い」と小高さんは説明する。

「この世代には10代の頃、空前のスニーカーブーム(エアマックスブーム)が直撃しています。それから数年後には裏原宿ブームが起こるという、2大ファッションブームを体験している世代です。このブームの全盛期のときにはまだ小中学生だった現在25-27歳の人たちも、兄姉や先輩たちの様子を目の当たりにするなどして影響を強く受けているでしょう。ファッションの最も盛り上がっていた時代と、ファッションに最も敏感な時期が重なっていたのです。そのため、『オシャレは、日々の生活をより楽しくするのだ』ということを本能的に知っている世代とも言えますね」

どちらがカッコよくて、どちらがダサいのか。そうした判断を10代の頃から繰り返して来たプレッシャー世代は、ファッションアイテムを選ぶことについての経験値が飛び抜けて高い。

「単にブランドタグが付いているだけでは見向きもしません。一方、自分が納得できる良いモノであればきちんと価値を認めて、定価を払うことに抵抗がありません」

この世代のモノ選びの傾向について小高さんの分析はこうだ。

「プレッシャー世代は、内部で若干の年齢差はありますが、ファッションブームの洗礼を浴びたことでセンスやモノ選びの考え方が鍛えられている点は共通しています。さらに、プレッシャー世代の中でも若い年齢層では、全体的に『着回しのしやすさ』や『組み合わせの自由度』、そして『価格』を重視するなど、ファッションをトータルに考えていることが多いと感じます。もちろん、尖がっていてこれに当てはまらない人もいますが、モノ選びの傾向としてはややコンサバティブで現実路線です。とはいえ、ケチとは違います。自分の価値観をしっかり持って買い物をしているのが、プレッシャー世代なのです」


<プレッシャー世代が体験した2大ファッションブーム>
プレッシャー世代は大きなファッションブームを2度経験した。
ひとつは90年代半ばに吹き荒れたスニーカーブーム。もうひとつは、東京・原宿発のブランドが時代をリードした、90年代半ばから00年代前半にかけての「裏原」ブームだ。

●スニーカー
・ インスタ・ポンプフューリー/リーボック(’94年)
・ エアマックス95/ナイキ(’95年)
・ エアズームフライト95/ナイキ(’95年)
・ エアフットスケープ/ナイキ(’96年)
・ ディスク・エヴォリューション・ヌバック/プーマ(’97年)
・ ウォーターモカシン/アディダス(’97年)

●「裏原」ブランド
・ A BATHING APE(’93年)
・ NOWHERE(’93年)
・ NEIGHBORHOOD(’94年)
・ UNDERCOVER(’94年)
・ BOUNTY HUNTER(’95年)
・ DEVILOCK(’96年)
・ MACKDADDY(’97年)
・ REVOLVER(’98年)

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