私自身、最初は原作のコミックを知らなかったんです。だけど、舞台のシナリオを見たとき、すごくストーリー展開がわかりやすいと思いました。

台詞があまりない分、ラッパーさんが今回の舞台のために歌詞を作ってくれたりもしているんです。

ーー台詞がないというと、シナリオはどうなっているんですか?

最初にもらったシナリオと、今作品になったものでは、設定もだいぶ変わったところがあるんです。シナリオには

渋谷の街
SARUが楽しく会話をしている
そこに現れる書記長
(編集部註:SARU=渋谷を縄張りにするトライブのひとつ、トライブ=徒党)

…という感じで、曲目ごとに箇条書きされているんです。作りながら、脚本が厚くなっていったシーンもあります。

頭の中に残るシーンがいっぱいあるのは、やっぱり梅棒さんの演出だからこそなんだろうなって、すごく感じてます。

もちろん舞台は1時間半しかないから、コミックや映画化された作品とは違って、ストーリー展開は早いと思うんです。

だけど、1時間半という短い時間のなかで、痛々しい部分もありながら、最後に気持ちがほっこりして、思わず泣けてしまう。そんな感情にまでなれるというのはすごいなと本当に思います。

ーー今回、演出されたのは、梅棒の伊藤今人さんですね。今人さんはキム役で舞台にも出演されていて。

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