議論から社会が変化!日本のママも「自分&我が子ファースト」でいいのでは?

海野:こちらの男性陣に尋ねてみたところ、

「自分はまったくもって気にならないが、気にする人がいることは知っている」

という意見が聞かれました。

10年ほど前になると「公共の場での授乳」に反対していた男性も多かったようですが、最近では「育児をもっとサポートしたい」と考える人が増えてきているようです。

また少し前のことになりますが、ニューヨーク市が授乳環境の整備に取り組んでいることがニュースにもなりました。授乳用の個室スペース設置について2016年、市長が法律にサインをして、まず5カ所がオープンしました。去年(2017年)夏の時点で、それが34カ所にまで増えています。

――米国・ニューヨークでは反対派もあり論議も呼んだけれども法整備も進み、もともとあった多様な文化を受け容れる土壌も手伝って、社会の意識も変わってきているということでしょうか。

その変遷を体感していらした海野さんの目に、日本の「公共の場での授乳」問題はどのように映りますか。

海野:人の意見にはいろいろあっていいとは思うのですが、言い方は厳しいですが、愚かな論争なように感じます。

ニューヨークでもさまざまな意見があり、やり方もあって、議論にもなったようですが、日本のような炎上には至っていません。

さすがに乳首をあらわに見せるのは良いこととは思えないですが、でも赤ちゃんが必要な時に、必要なミルクを、ママはあげる必要があると思うのです。

この論争のために、外出を控えるとか・・・悲しいことです。ママは出かけたい時に出かけていいはず。

日本のママたちが周りに気を遣うのは、とってもいいことだと思います。でも時にはもっと、お互いに「自分は自分、人は人」でいいというか、本当に大事なことであれば「人の意見より自分の子ども優先!」でもいいのではないでしょうか。

【取材協力】海野 典子(うみの のりこ)さん

2000年渡米。教育学スクールカウンセリング科修士課程卒。2009年に「ココからキッズNYプレイグループ」をアッパーマンハッタンの育児仲間と共同設立。2013年から「いのちの共育」を掲げ「親の気付きのシェアによって自分が変わり子どもたちが変化していく目覚めを体験し、共に人と人とのつながりを深め合える喜びを分かち合う」プログラムを創造する「森の家」を主宰している
。NPO法人「マザーズコーチ・ジャパン」コーチ。ニューヨークで子育てをする一児の母でもある。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。