5人の「彼」にあわせた5通りのエンディングが用意

ユニークなのは、乙女ゲームのルート選択を舞台でも再現したことだ。5人の「彼」にあわせた5通りのエンディングが用意されており、公演ごとに新鮮な気持ちで楽しむことができるという。お目当てのキャラクターのエンディングを狙っていくもよし、何度も観て全パターンを楽しむもよしだ。今回のゲネプロでは「シン」ルートが描かれていたが、平行世界を渡るたびに主人公の「彼氏」が変わっていくので、攻略対象キャラ以外の魅力も存分に引き出されていると感じた。

 
  

おそらく原作でもそうだったのだろうけど、とにかく『AMNESIA』の世界観は独特だ。「架空の世界」を舞台にしていながらも、「大学」や「バイト」といった単語が出てきたりして、幻想と現実が入り混じったような不思議な感覚を味わえる。現代の日本にいてもおかしくなさそうな普通のファッションの主人公と、スタイリッシュで奇抜なスタイルの男性キャラクターとの対比も面白い。現実と架空のちょうど中間にあるような空気感が女性を惹きつけるのだろうか。

 

   

 

また舞台演出としてすばらしかったのは、心象風景をダンサーたちによる美しいダンスで表現しているところ。強い心の動きや葛藤があったとき、あるいは物語が衝撃的な展開を迎えた場面などで登場し、音楽と共に物語を盛り上げてくれる。これが『AMNESIA』の雰囲気によくマッチしていた。