神風動画としての大きな挑戦

――神風動画としても、今回の作品は大きな挑戦だったかと思います。

水﨑:「無理かも…」という思いは片隅にありましたね。

正直、途中で降りる可能性もあるかもしれないと。ただ、きちんと保険を担保しないといけないなと思ってて、そこは前半の20分くらいで一度、バットマンが負けるところまでの部分。

打ち合わせでも「そこをひとつの区切りに」という話はさせてもらいました。まず、そこを作ってみて、そこまで行けば、あとはできるだろうと。そこまでまとまって作れたので…。

――中島さんは、完成した作品を見てどのように感じられましたか?

あるシーンがすごい!この人は、こういうものをぶち込んでくるんだ? と。

中島:あるシーンで、それまでとはガラリと作風が変わるところがあるんですけど、すごい! と思いましたね。

この人は、こういうものをぶち込んでくるんだ? と。

僕自身が一番やりたかったシーンなので、それをわかってもらえて、やってくれたのでしびれました。

水﨑:「土はいい」というセリフがあるんですけど、それが割と初期の打ち合わせの段階で出てきて、中島さんがすごく大事にしてるのを目の当たりにしていたので、「ここは絶対に切っちゃダメ!」と(笑)。

中島:(全体から見たら)バランスは悪いんだけど…。

水﨑:そのバランスのいびつさが個性になると思っていました。

中島:不安はあったけどアメリカでも「面白い」と言ってくれる意見が多くてホッとしましたね

水﨑:「トムとジェリー」が日本で放送されるとき、無理に30分に収めるために、真ん中に別の実験的アニメが入っていて、それがスパイスとして効いていて、すごく好きだったんです。

「まんが日本昔ばなし」も、2話構成でしたけど、1話目はちゃんとエンタメして、アニメしてるけど、2話目に急におどろおどろしい作風の物語が出てきたりしてたじゃないですか?

あぁ、これだと思いました。そういうのが急に入ってきても、日本人は見慣れているから、こういうスタイルは大丈夫だろうと。

――画だけでなく、アクションの動きも、日本的な動きも取り入れられていて、印象的でした。

『ニンジャバットマン』Batman and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © Warner Bros. Japan LLC

水﨑:あれは実際に動きを撮っているんです。殺陣を自身で演出されるアクション監督と若手のアクターさんにバットマンとジョーカーを演じてもらってます。

刀の扱いに慣れたバットマンと刀の経験がないジョーカーがこの状況で戦い、ジョーカーは天才肌で、戦っていくうちに習得し、後半、強くなっていく。

そういう細かい状況をお伝えして、2~3週間の検討期間を設けて、動きを作っていただきました。(劇中の戦いの場である)お城の屋根を想定して、スケボーのハーフパイプの施設で動いてもらって。

モーションキャプチャではないんですが、その動きを録画し、それを見ながらコンテを作りました。

海外の観客の評価、感想は「ふざけんな!10点」「ふざけんな!1点」ですね(笑)

――お2人の元に届く海外の観客の評価、感想はどのような声が多いですか?

中島:賛否のどちらであれ「ふざけんな」ですよね(笑)?

水﨑:「ふざけんな!10点」「ふざけんな!1点」ですね(笑)。

中島:平均は5点だけど10点か1点ばかりで…

水﨑:アナハイムでのプレミアの時は、最初、卵が飛んでくるんじゃないかと心配でフライパンを用意しておこうかと…。

中島:知事選の時にシュワルツェネッガーが卵をぶつけられて「ベーコンを持ってこい!」と返したというエピソードを聞いて、おれたちはご飯を持って行って、しょうゆかけて卵かけご飯で食べようかと。

それを見たら「こんなやつらが作ったならしょうがないか」となるんじゃないかって。でも、幸いそんなこともなく、こちらが笑ってほしいところで笑ってもらえましたね。

水﨑:笑いのポイントが(日本と)同じだったのは、逆に意外な反応だったかもしれませんね。