「ママが笑顔になれる方を選ぶ」のが仕事と母乳育児両立の秘訣!

竹中:例えば海外出張などのケースでも、5日間くらいだったらクリアできる人も多いんですよ。

その期間、ママは「圧抜き」といわれる乳房ケアをして、赤ちゃんはミルクを飲んで。帰ってきてから「母乳復活!」という例をいくつも見てきました。

「顔を忘れられていてショックでした」という話もありますが(笑)。

――私も幼少期、海外出張から帰った父に対して「あの人、誰?」となってしまったことがあります。でもいまも、父とは仲良しですよ(笑)。

竹中:意外に、そんなものですよね(笑)。

コツは「赤ちゃんに申し訳ない」と思い詰めるより「留守中はパパにお任せ!ごはんはミルクでね~」と、ゆったりとした気持ちで出かけること。

外せない出張だってあるでしょうし、このタイミングで決行しなくてはならない海外滞在だってありますよね。

でも母乳育児は続けたいし、という時に「どちらもあきらめなくても大丈夫!」ということは、言ってあげたいですね。

つまり・・・母乳育児は「恋人関係」と似ているんじゃないかな。

――恋人関係、ですか?

竹中:母乳育児はママと赤ちゃん両方の需要と供給があって、初めて成り立つのですが、お付き合いの仕方も距離感も、100組いたら100通り、本当にいろんなドラマがある。

「断乳」か「卒乳」かにしたって、片方が「やめたい」(別れたい)って言ったら、「やめる」(別れる)よりしょうがない!(笑)

それがママの気持ちでも、子どもの気持ちでもそうです。我が家についていえば、一人目の時なんて私はまだまだ続けたかったのに、子どもが早々に卒乳を決めてしまって、私が大泣きしました。あの時はまさに恋人に捨てられた気分でした(笑)。

いずれにしても「復職・入園」の時に「やめなさい」と言われて、当の本人たちが別れたくないのに別れることはないし、無理に関係を解消したって、ママはもちろん、子どもも“楽”になれるかといえば、そうではない。

「断乳」にしても「卒乳」にしても、ママが笑顔なら子どもも笑顔になりますから、ママが“楽”になれる方を選んだら、それでいいのではないでしょうか。そのあたりの理解が、広がってくれたらいいな、と思っています。

【取材協力】竹中 恭子氏

母乳110番】代表・電話相談員。イラストレイター・ライター。1男1女の母。
おっぱいとだっこ』ほか、著書・共著多数。『おっぱいとだっこ』は第9回ライターズネットワーク大賞受賞、近年は水彩画家「武蔵野つきこ」として『授乳美人』作品シリーズも発表。公式ブログも。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。