20世紀を代表する芸術家イサム・ノグチ。彼の足跡を数々の彫刻や写真、映像などから辿る展覧会「イサム・ノグチ 発見の道」が、4月24日(土)から8月29日(日)まで、東京都美術館で開催される。その音声ガイドナビゲーターを務めることになったのが、社会現象を巻き起こしているアニメ「鬼滅の刃」の煉獄杏寿郎役でも知られる、日野聡。そこで音声ガイド収録直後の日野に話を聞いた。

ノグチ作品の魅力について、「世界中を渡り歩き、いろいろな経験をされてきた方なので、本当に温かみのある作品が多いなという印象です」と語る日野。さらに「和の要素も多く取り入れつつ作られているので、日本人はよりイサム・ノグチさんの世界に入って行きやすいのではないでしょうか」と続け、「僕個人が非常に気になっているのは、「あかり」という光の彫刻作品です。しかも今回の展覧会では、その中を歩きながら観られる、というのが大きなポイントですよね」と目を輝かせる。

そして本展ならではの展示方法がもうひとつ。「ルートが決まっていない、というのもとても面白いなと思いました。観る順番が決まっているわけではなく、自分の観たいところから、自由に楽しむことが出来る。また僕もそのひとりではありましたが、美術館に対してちょっと敷居が高いな、というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思うんです。でもこの展覧会はとても自由に、自然体で楽しんでもらえる空間になっています。ですので、ぜひまったりとした気持ちで、気軽に足を運んでいただければと思います」

音声ガイドでは作品の解説はもちろん、ノグチの生い立ちなども紹介。「実際にイサム・ノグチさんと関わってこられた方々が、どう彼を見ていたのか。言葉で表現してくださっているものを、僕が代読させていただいています。そうしてイサム・ノグチさんのお人柄、芸術家としての生きざまに触れることで、僕自身、ものすごくシンパシーを感じて。芸術家の方ってとても高尚な、遠い存在だと思っていましたが、これを機にグッと距離が縮まったような気がします」

優しくも芯の強さを感じさせる日野の声は、イサム・ノグチの作品世界に寄り添い、さらに広がりを見せてくれるはずだ。「この音声ガイドを通して、イサム・ノグチさんの芸術家としての在り方、生き方というものを、より多くの方に届けられるよう心がけて収録に臨みました。音声ガイドも併せて、ぜひ楽しんでもらえたら嬉しいです」


取材・文:野上瑠美子