レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ) (c)J.LEAGUE

王者の強さばかりが際立った90分間となった。『明治安田生命J1リーグ』首位攻防2連戦第1ラウンドは川崎フロンターレが名古屋グランパスを圧倒。4月29日・豊田スタジアムで川崎Fが無双ぶりを見せ付けたのだった。

3分、左ウイング三笘薫がドリブルを仕掛けるとCFレアンドロ・ダミアンへラストパス、するとダミアンはシュートコースを空けながらはたき、走り込んできたインサイドハーフ旗手怜央が右足を振り抜いて鮮やかに先制。10分には右ウイング家長昭博が左サイドから余裕を持って正確なクロスを放つと、ダミアンが滞空時間の長いヘッドをズバリ。そして23分、インサイドハーフ田中碧の右CKをボランチのジョアン・シミッチが後方へフリック、フリーとなったダミアンがとどめのヘッドを決めた。12試合中10試合でクリーンシート、わずか3失点しか許してこなかった名古屋の鉄壁の守備がわずか23分間で3失点を喫し崩壊したのだ。

序盤で勝負を決めた川崎Fはその後ペースを落とし、名古屋もボールを持てるようになり、チャンスを作られるも、最後のところはシャットアウト。逆に途中出場した遠野大弥が左ミドルを決めて4-0で試合を終えたのだった。試合直前にマッシモ・フィッカデンティ監督がのどの痛みを訴え指揮官不在となり、浮足立った名古屋の隙をいつも通りに強い気持ちで試合に入った川崎Fが見逃さなかった。

試合後、鬼木達監督は「1位と2位の対決なので、大事なゲームだと思って入った。選手たちが気持ちを存分に出してくれたし、最後も失点ゼロに抑えてしっかりと得点も重ね、気持ちの入ったいいゲームをしてくれた」と選手を称えつつ、「後半3点リードしていたのもあるが、少し相手にボールを持たれる時間があった。色々と改善できるところはあると思う。人も含めて考えたい。選手にも伝えたが、一喜一憂するのではなく、ホームで勝たないと意味がない。今日よりも気を引き締めて戦いたい」と勝って兜の緒を締めた。

一方、ブルーノ・コンカコーチは「今日の試合がこのような内容になってしまったからといって、取り組み方を変えなければ同じような展開になってしまうとは思っていない。我々が自信を持っている部分は今日の結果を受けても変わらない。切り替えて今まで通り取り組んだ上で、我々の強みを次の試合では出せるようにしたい」とブレない姿勢の重要性を説いた。

等々力陸上競技場に舞台を移し行われる第2ラウンドで名古屋は意地を見せられるのか。悪夢のような大敗を切り替えるのは至難の業だが、これはリーグ戦。カップ戦のようにトータルの得点やアウェイゴールを考える必要はない。ウノゼロでも勝点3は手に入る。

果たして川崎Fが連勝を飾るのか、名古屋がリベンジするのか。『明治安田J1』第12節は5月4日(火・祝)キックオフ。チケットは予定枚数終了。DAZNにて生配信。