発売中の書籍『栗山英樹の思考 若者たちを世界一に導いた名監督の言葉』は、栗山英樹氏がファイターズ監督および侍ジャパン監督として2012年から2023年の間に発した印象的な「言葉」を収録しています。
現在はファイターズのチーフ・ベースボール・オフィサーとして、日本野球のために活躍し続けている栗山氏は、その監督時代から「選手を育てる力」や「人の能力を見出す力」が話題になっていました。
組織づくり、選手の育成、人はどう生きるのか、仕事とどう向き合うのか――。栗山英樹氏がおよそ12年間の長い監督人生で語った、心に残る数々の名言からは、挑戦を続けた名監督の熱い「想い」が感じられます。
今回は【栗山英樹語録】から、「大谷翔平選手への想い」について語った言葉をご紹介します。
組織作りや選手育成、人としての生き方、仕事への向き合い方――。
数々の名言から、挑戦を続けた名監督の熱い「想い」と「勝ち続けるための思考」をぜひ読み取ってみてください。
栗山英樹の名語録5選「大谷翔平選手への想い」
大谷くんには本当に申し訳ないけれど指名をした。いや、(指名を)させていただきます。
2012年10月25日のドラフト会議を前に、栗山監督が口にしたのは大谷選手への謝罪の言葉でした。指名後、「大谷くんからすれば『何すんだ』っていうこともあるだろうし、それに対しては正直に本当に申し訳ない」「野球界を引っ張っていく存在になってほしい」と語りました。
夢は正夢。誰も歩いたことのない大谷の道を一緒につくろう。
2012年10月25日に行われたドラフト会議の後、球団GM、スカウトが大谷選手宅を訪れました。11月2日には両親と本人に、経緯と育成方針を説明。栗山監督がこのメッセージを記したボールを手渡された大谷選手の気持ちが少しずつ、ファイターズ入団に傾いていきました。
一番大切なのは大谷くんの将来。まわりもそれを大切にしていると思う。一番いいのは何か。その道をつくるのは大人の責任。
栗山監督が直接交渉を行い、大谷選手は入団に前向きになっていきます。それに伴い、批判が大谷選手へ向かうことを危惧した栗山監督は「(彼が)日本でプレーするのなら、すべて自分(栗山)が背負う。球団と自分が悪いと。できる限りプレーしやすい環境をつくりたい」と語りました。
一つになる時は自分で決めなさいと最初から言っているが、二つとも評価されなくては意味がない。でも、あいつはできることを証明してきた。
プロ4年目の2016年は大谷選手にとって勝負の年。2月の時点で、2年連続の開幕投手となることが発表されました。「将来、アメリカに行くか、行かないかは本人が決めることなのでわからないが、両方で評価されてほしい夢はある」と栗山監督はエールを送りました。
漫画みたいなやつが出てくるとプロ野球にもロマンがある。一番良いバッターにたくさん回る、勝つための得策だった。感動したね。『栗山英樹の思考 若者たちを世界一に導いた名監督の言葉』より
2016年7月3日。DH制のパ・リーグで先発投手が打席に立つのも異例だが、トップバッターを任されるのは異例中の異例。しかしホークス戦に先発した大谷選手はマウンドに上がる前の打席に入り、敵地で先頭打者ホームランを放つ。そして被安打5で8勝目を挙げた!