そんな2つの世界をつなぐための舞台として選ばれたラビリンスシティの雰囲気は、中世の町並みといった感じで、どちらかといえばレイトン教授よりの世界観である。しかし、逆に主要キャラクターのグラフィックは逆転裁判寄りに調整されており、それが絶妙なバランスとなって2つの世界を違和感なく融合させている。たとえばレイトン教授の頭身も、これまでのシリーズより少し縦に伸びて逆転裁判に合わせる形になっているのだ。ちなみにメインヒロイン「マホーネ」に関しては完全に逆転裁判の世界のキャラデザインである。
一方で町の人々については、レイトン寄りだったり逆転裁判寄りだったりはするものの、並べてみると驚くほど違和感のない仕上がりになっている。このグラフィック調整の仕事ぶりはお見事! デザインとモデル制作を担当したカプコンのグラフィックチームは今作のMVPだろう。
さて、グラフィックや世界観以外で気になるのは、システムだろう。これは、一言でいえば、"レイトン教授と逆転裁判のシステムを合わせただけ"である。アドベンチャーパートでナゾを解き、裁判パートで被告人の無実を証明するのだ。
よくいえば"いつも通り"だし、悪く言えば"新鮮味に欠ける"のだが、わざわざ完成されている両作品のシステムをいじってまで新しいことをやってもリスキーなだけだし、そもそもユーザーが望んでいることは、まるっきり新しいゲームシステムで遊ぶことではなく(それなら別のゲームでいい)、2つの作品を融合することで生まれた新しいストーリーを楽しむことなのだから、これで間違ってはいないわけだ。
ただし、まったくかわりばえしないわけではなく、レイトンと真宵、成歩堂とルークといったコンビによる進行や、裁判パートに新たに導入された複数の群集尋問システムなど、コラボならではの新要素を楽しむこともできる。何より、レイトンと成歩堂が一緒にナゾを解く姿を見られるのはどちらのファンにとってもたまらない特典だろう。ストーリーも逆転裁判シリーズをすべて手がけてきた巧舟が制作しているだけあって、相変わらずの完成度の高さとなっている。