筋肉少女帯 ――笑いと毒たっぷりの唯一無二のエンタテインメント
続いて登場したのは、楽曲提供したももクロ『労働讃歌』のステージで乱入し、見事なダンスを披露したオーケン(ももクロちゃんたちの「あの人だれ~?」「なんだったんだろうね~」って他人事な扱いのMCには笑った)率いる筋肉少女帯。ハードロック~メタルを基調としたサウンドは決して2012年の音楽シーンど真ん中のものではないですが、ももクロ終わりのフロアを一瞬で筋少ワールドに引きずり込みドッカンドッカン盛り上げるさまは、さすがとしか言いようがありません。
一見さんも置いてきぼりにしない過剰なまでのサービス精神(『ワインライダー・フォーエバー』ではももクロ顔負けのダンスを披露!)、重厚かつ鋭利なサウンドにユーモアと毒を散りばめた歌詞が乗る硬軟の絶妙なバランス、自虐ネタを乱射しながらもネガティブ一辺倒にならず爆笑を呼び起こすMC(いきなり完全にイッちゃってる人風に奇声を発し続けたあとで「こういうところだけナタリーに取り上げられるんだぁ!」には笑った。そしてちゃんと取り上げるナタリーGJ)、どれを取っても若者にはマネできない<ロックバンドの年輪の太さ>を感じるパフォーマンス。’06年に活動再開してから早6年、往年のヒット曲も惜しげもなく披露してくれて、誰もが大満足のライブだったのではないでしょうか。
じゃあ、ただただハッピーなステージだったのかと言うとそうではなくて、見終えたあとで心に残ったのは、現在の不穏な世相にハマった『僕の宗教へようこそ~Welcome to my religion~』や、ももクロのステージで「働こう 働こう その人は輝くだろう」と自作曲で踊りまくったあとで、「人間とは『リポビタンD』のようなものだぁぁぁぁああっ!!」とリポDをかたどったバルーンを抱えながら絶叫する『労働者M』でした。陰と陽、笑いと毒。相反するようで実は表裏一体の世界を、圧倒的な表現力でもって叩きつける筋肉少女帯は、この日も観客をドヒャドヒャ笑わせつつ、心に消えない傷跡を残していったのでした。
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12月20日(木)には熱狂的な筋少ファンとしても知られるハヤシ率いるPOLYSICSとのツーマンを開催する筋肉少女帯。また2013年3月17日(日)にライブを行うの埼玉・所沢MUSEは、ふだんはオペラやミュージカルを上演する演劇ホール。こちらもレアな機会となりそうです。
<SETLIST> 1.イワンのばか 2.ワインライダー・フォーエバー
3.日本印度化計画 4.僕の宗教へようこそ~Welcome to my religion~ 5.じーさんはいい塩梅 6.踊るダメ人間 7.労働者M 8.釈迦