「同じく簡単なことで、発声のポイントをひとつだけ紹介します。多くの人が“い”と“え”の母音を音に出すとき、口の形が横に広がります。しかし、そうすると少しキンキンとした音になってしまい、“あ”“う”“お”などの柔らかい音にまじると、人は嫌悪感を抱いてしまいます。“い”と“え”を丸い口で発音すると、心地よい声だと認識されるようになりますよ」
ほりさわさんが提唱する発声法&トレーニング法は、どれもボイストレーニングの常識を覆す、簡単なものばかり。今日からチャレンジして、カラオケの主役になろう。
楽しく歌えて、心地よく響く! 歌声を劇的に変える3ステップ
STEP1 簡単ストレッチで「体を楽器にする」
声は「口から」ではなく、「体全体」で出すもの。まずは「体は楽器」だと考え、そのメンテナンスをしっかりするのが、歌を上手く歌うためのポイントだ。特に重要なのは、呼吸するために必要な臓器「肺」と、それを守っている「肩甲骨」。肩甲骨と肺が密着してしまっていると、深い呼吸ができなくなるため、なかなか声量が上がらない。歌う前に、以下のストレッチをしてみよう。
まず、左手の指先を左肩に軽く載せる。次に、そのまま肘で円を描くように左肩を回す(右も同様に)。これで肺に空気がたっぷり入るようになり、しっかりとした声が出せるようになるはずだ。
STEP2 「びっくりスローモーション」で声量アップ!
口はスピーカーと同じ役割を果たすため、「大きく開いて容積をグンと広げる」ことで、声の響きをよくすることができる。いい声を出すためには、まずは息をたくさん吸い、口を大きく開け、喉を開くことが第一だ。表情でいうと、驚いてハッとしたときや、あくびをしたときがベストな状態。
そこで、「驚く様子をスローモーションで再現する」つもりで、両手を顔の横に持ち上げながら、口を大きく開いて思い切り息を吸い込んでみよう。吸いきったら、呼吸を止めずに「はあ~」と息混じりの声を出しながら、空気をすべて吐く。これだけで、喉はひらき、高い音もらくらく歌える声に変わる。
STEP3 簡単腹式呼吸「ポコ&はー」で楽に声を出す!
「びっくりスローモーション」で喉を開く感覚を身につけたら、次に覚えたいのはプロのシンガーが必ず通る道、「腹式呼吸」の習得。と言っても、難しく考える必要はない。
まずは足を肩幅に開き、リラックスした姿勢で立つ。そして右手でこぶしを作り、肋骨の中間にある“みぞおち”の位置に置く。その上に開いた左手を添えて、軽く押すように負荷をかける。これをお腹の力で「ポコッ」と押し出しながら、同時に口を大きく開けて「は」や「はー」と発声する。これを5回繰り返すトレーニングをするだけで、プロのような強い声が出るまで、あともう一歩だ。