昆虫の魅力や謎に迫る特別展「昆虫」が2021年9月20日(月・祝)まで名古屋市科学館で開催中だ。昆虫の起源は4億8000万年前、私たち人間よりはるか長い歴史をもつといわれる。さまざまな環境に適応しながら多様化を遂げ、その種類は名付けられているものだけでも100万種類以上。そんな昆虫の仕組みや生態、能力について約5万点の標本とともにCG映像や4コマ漫画などの解説でわかりやすく紹介する。

本展は昆虫の魅力を多角的に知ることができるように、「昆虫とは」「昆虫の多様性」「昆虫の生態」「昆虫の能力」「昆虫研究室」の5つの章立てで構成。まず会場に入ると巨大な昆虫模型5体に目を奪われる。小さな昆虫を2m大に拡大し、身体の構造を忠実に再現。普段、目にすることのない細かな毛や複雑な口先といった細部にも注目してほしい。

昆虫と一口に言っても、小さなものや大きなもの、美しい彩りのものやユニークな形、その姿かたちや美しさはさまざまだ。昆虫は長い年月をかけて各地域・環境に適応するため進化を遂げてきた。林内や流水域などそれぞれの環境にはどんな昆虫が住んでいるのか、私たちの身近にいる昆虫と地球の裏側に生息する昆虫はどのような違いがあるか、見比べることができる。その形や色は一体何を意味するのか、など同じ仲間の昆虫でも、よく見ると一つひとつ違っていて面白い。

膨大な数の昆虫だが、その生き方も少しずつ違っている。その生態の多様性を「食べる」「住む」「たたかう」といったキーワードに沿って紹介し、昆虫が生き抜くために獲得したさまざまな生態を観察できる。力強い生命力に思わず見入ってしまうはずだ。

ゴキブリだけを集めたコーナー「Gの部屋」も見どころの一つ。苦手な人が多いであろうゴキブリだが、森林に住む彼らは朽ち木や落ち葉を食べており、森林生態系において非常に重要な役割を担っている。のぞいてみると、ゴキブリの見方が変わるかもしれない。

ほかにも本展で注力している一つが、昆虫研究のコーナー。研究家たちの貴重な標本コレクション約160箱を展示している。壁一面の標本は見応えがあり、はじめて見る昆虫に出会えるはず。そして夏休みの自由研究にピッタリなのが、採集や標本のテクニック。プロが使っている道具を用いて詳しく解説している。

また、音声ガイド(オフィシャルサポーター)は、無類の虫好きで知られる俳優の香川照之さんが担当。NHK Eテレの「香川照之の昆虫すごいぜ!」でのカマキリ先生でおなじみ、無類の虫好きで知られる香川さんのユーモア交えた説明と熱いメッセージでナビゲートする。

この夏は子どもも大人も楽しく学べる特別展「昆虫」で、“昆活”してみてはいかがだろうか。

ライター:エディマート、溝呂木真弓