ヴィジュアル系をまたメジャーな存在にしたい

――緑川さんのヴィジュアル系との出会いはどこからなのでしょうか。

緑川:ウチに別荘があって、休みになったらそこによく行っていて。その近所に住んでいる女の子がSEX MACHINEGUNSが好きなバンギャだったんです。まぁ、SEX MACHINEGUNSが厳密にはヴィジュアル系かどうかは置いといて……。

――たしかに、そこは定義にもよりますね。90年代はヴィジュアル系雑誌に掲載されていることも多かったですし。

緑川:そう、で、その子に勧められて聴いたら、「めっちゃカッコいいじゃん!」と思って、そこで色々調べていくと、ヴィジュアル系っていうジャンルに当たるじゃないですか。それでさらに調べていくと、Janne Da Arcに出会ったんです。SEX MACHINEGUNSも大好きなんですけど、Janne Da Arcには自分の好きな音楽、聴きたい音楽が全部ここにあると感じたんです。

それからこの2バンドはずっと聴いていて、高校生のときに初めてSEX MACHINEGUNSのホールライブに行ったんです。椅子の上にフライヤーがたくさん入ったビニール袋が置いてあるじゃないですか、その中にNIGHTMAREのフライヤーが入っていて「カッコいい!」と、また調べていくと、『SHOXX』という雑誌のことを知って、そこからマイナーなバンドも含めて色々漁るようになっていったんです。

――絵に描いたようなハマり方ですね。

緑川:そうっすね(笑)。

――ご自身が聴いて育ってきたからこそ、ジャンルに思い入れが強いと。

緑川:盛り上げたいですね。今は「ニッチなジャンル」と思われているけど、俺が高校生くらいの頃はそうじゃなかった。普通に友達とかとカラオケ行ったら誰かが黒夢歌ってるっていう光景は当たり前にあったはずなのに、どうして今はこうなってしまったのか。

とはいえ、それはヴィジュアル系というジャンルが悪いんじゃなくって、昔はなかったボカロや歌い手、地下アイドルだったりエンタテインメントの細分化、オタク活動の多様化結果だと思うんです。だからこそ、またメジャーな存在にしたいという想いはありますね。

0.1gの誤算

このバンドを始める時に、求められている曲をやりたいなと思った

――なるほど。0.1gの誤算といえば、『有害メンヘラドール』や、6月にリリースされたミニアルバム『極彩色ジャポニズムのすゝめ』に収録されている『絶望メンブレガール』など、いわゆるメンヘラカルチャー、近年流行している地雷女子カルチャーのような世界観を歌った楽曲のイメージが強いのですが、そういう楽曲はどのようにして生まれたのでしょうか?

緑川:『有害メンヘラドール』も始動当初からあるんですど、あれは元々まったく違った歌詞、もっと明るい歌詞にしようとしていたんです。「自分の壁を乗り越えていこうぜ!」みたいな。

――それは今の『有害メンヘラドール』からは考えられないです。

緑川:バンドを準備していた2015年の終わり頃、ヴィジュアル系シーンの中で、メンヘラ系が盛り上がっている実感があって、曲調もよく変わるし情緒不安定な感じの曲だし、そっちの方が合うんじゃないかと考えたんです。だからバンギャのことを歌った歌詞にして。

そこに手応えを感じたから、今でも自分の十八番的に、こういう曲調をやっていますね。

――需要があった、ファンから求められていたからこそだと。

緑川:そうですね、このバンドを始める時に、求められている曲をやりたいなと思ったんです。それまでやっていたバンドでは、自分の好きな音楽だけをやって売れたいという気持ちがあって、だけどそれは上手くいかなかった。

それで『有害メンヘラドール』が受け入れられたこともあって、そっちにシフトチェンジしていったんです。もう定番というか“飛び道具”でもなくなりましね。

――そこでバンドの方向性が決まったわけですね。

緑川:シングルの表題曲やMVを作る曲は、バズラせるとか再生数狙いにいくとかをメインに考えてて、でもそこで、やりたい事はカップリングでやるみたいな。そういうスタイルになりましたね。