今年7月、北海道・北東北の縄文遺跡群がユネスコの世界文化遺産への登録が決まり、改めて注目が集まる縄文時代。1万年以上にわたって続いた縄文時代の人びと、特に東京の縄文人の暮らしに焦点をあてた特別展「縄文2021―東京に生きた縄文人―」が江戸東京博物館(東京都墨田区)で開催されている。

東京という地域の縄文時代を考える大規模な展覧会は1986年2月に銀座ソニービルで開幕した「第2回 東京の遺跡展」(主催・東京都教育委員会)以来、35年ぶり。

本展の入り口に入ると、「多摩ニュータウンのビーナス」と称される縄文時代中期の土偶がお出迎え。最新の調査成果から考える縄文人像の展示がプロローグとして紹介されている。

東京の縄文時代の遺跡の発掘は、1877年、エドワード・S・モースによる大森貝塚の調査に始まり、都内で発見された縄文時代の遺跡は、集落のほか、土器片のみが出土するものも含めて3800箇所以上確認されている。本展示では、日本考古学史上において著名な大森貝塚と、東京の地形に基づき、島嶼(とうしょ)・沿岸部貝塚・台地・山地の代表的な遺跡をピックアップして紹介するところから始まる(第1章:東京の縄文遺跡発掘史)。

続いて第2章では「縄文時代の東京を考える」と題して、集落、葬墓制、土器、石器などの動きをどのような時期的、地域的特性を遺跡の中に残したのかを読み解く。第3章「縄文人の暮らし」では、縄文人のムラを巨大模型で復元しているほか、都内で発見された縄文時代中期〜晩期に至る土偶などを展示。写真はもちろん、肖像画もなかった縄文時代に、土偶や土面として自身の姿を今に残している。その表情から縄文人の思いを感じたい。

第4章「考古学の未来」では、国宝の土偶「縄文のビーナス」(茅野市所蔵 尖石縄文考古館保管)を10月19日(火)〜11月14日(日)、同じく国宝の土偶「仮面の女神」(同)を11月16日(火)〜12月5日(日)の期間それぞれ展示する予定だ。こちらも必見だ。

会期は12月5日(日)まで(休館日:毎週月曜日)。開館時間は午前9時半〜午後5時半(土曜は~午後7時半)(入館は閉館の30分前まで)。観覧料は、特別展専用券の場合、一般1300円、大学生・専門学生1040円。詳しくは江戸東京博物館のホームページ(https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/)を参照のこと。


取材・文・撮影:五月女菜穂