AIでお茶を美味しくするスマートティーポッド「teplo(テプロ)」。抽出する際の最後の一滴「ゴールデンドロップ」をイメージしたインフューザーが特徴

【木村ヒデノリのTech Magic #077】 温かい飲み物が恋しい季節になってきた。特に今年は急に冷え込んだので、急いで衣替えをした。デスクワークの多い筆者にとって冬場はコーヒーが欠かせないが、このガジェットを知った事で今年はお茶がメインになるかもしれない。

  AIでお茶の美味しさを最大化する、という「teplo(テプロ)」は、そのコンセプトだけでも一度は試してみたいと思わされる製品だ。淹れたお茶は通常のティーポットで淹れたお茶とは比較にならない美味しさで、こんなにも違うのかと驚かされる。良い茶葉を使わずとも毎日至高のお茶が楽しめるガジェットの実力は本物だった。

一見すると疑ってしまうような斬新なコンセプト

AIでお茶をパーソナライズする、などと聞くと本当に実用的なのか疑ってしまう方が多いだろう。目にしたタイミングでは筆者もにわかに信じられなかった。teploは内蔵する六つのセンサーで現在の状況を分析。独自のアルゴリズムで抽出温度と時間を導き出すというのだ。

センサーではユーザーの脈拍、指の温度など身体情報のほか、室温、湿度、照度、そしてなんと騒音レベルまで計測されるという。これらの情報からユーザーが置かれている環境やストレスを推測し、それらを改善してくれる一杯を作ってくれるというから驚きだ。

とにかく美味しい、驚きの味がお茶の概念を変える

成分のパーソナライズだけでなく「とにかく美味しい」ことが最大の魅力と言えるかもしれない。筆者はまず緑茶を淹れてみたのだが出汁のような旨味が感じられ、渋みはほとんどない。同様のものを両親に試飲してもらったが「いつも飲んでいる緑茶と全然違う!」と驚いていた。

京都や静岡など茶の有名産地に行くとこうした旨味のあるお茶を淹れてくれるお店に出くわすが、茶葉が良いから美味しいのだと思っていた。しかし実際は淹れ方でここまで違いが出る。普段お茶を飲みたいとは思うことがなかった筆者が、最近では毎日飲みたくなっているほどだ。

茶葉を最適な状態でのみ使うことのできる機構

前述した美味しさの最大化を実現しているのが、特徴的な形のインフューザーだ。ゴールデンドロップをイメージしてデザインされた雫のような部分がウェイトとなり、茶葉をセットした段階では水分に触れない状態が保たれる。水が最適な温度になると本体外側の機構がインフューザーを回転させ、ジャンピングや蒸らし、浸しなどの抽出方法を再現する仕組みだ。

アプリには生産者や専門家、愛好家数百名にヒアリング・テイスティングを実施してインプットしたデータベースを搭載。種類を選ぶだけで最適な抽出を行ってくれる。また、アプリを使わずともボタンで前回と同様の抽出方法を再現できるリピート抽出機能も実装。この方法ではパーソナライズはできないものの、毎日同じお茶を入れる際には重宝する。アプリと連携すたIoT機器は「スマホがないと利用できないこと」が最大の弱点なので、この機能は非常にポイントが高い。ユーザー体験がよく考えられた製品だと感じた。

また、別売となるが専用グラスも面白い。こちらも同じくゴールデンドロップをイメージしてデザインされているが、なんと飲み口の厚さが場所によって違っている。不思議なことにこの厚さの違いだけで味の感じ方が変わってくる。

さらにteploが厳選した茶葉が毎月送られてくるサービスも始まっている。一回分が小分けになってパッキングおり、袋に記載されたQRコードを読み取るだけで最適な抽出ができるので手軽だ。

美味しいからこそ今後期待したくなる点も

ここまで美味しいと少し残念なのが一度に作れる量が2杯分程度なこと。家族みんなで楽しみたい時には量が足りないので、ぜひ次期モデルとして4~6杯分が一度に作れるモデルもラインアップしてほしい。もしくは、2台を同時にアプリに連動させ抽出する機能でも良い。仕上がり時間を「5分後、15分後」設定してその時間に淹れたてになるよう逆算して淹れてくれる機能などが搭載されると食事の完成、もしくは食後に合わせて自動で淹れてもらうといったこともできて便利だろう。

もう一つ気になったのは掃除や手入れがややしづらい点。ユーザーによってはお茶パックに入れてからインフューザーにセットする方もいるようだが、それだとジャンピングなどに支障が出そうだ。インフューザーの内側に上下を止める溝があるのだが、マグネット方式などにしてこれらを無くすだけでも掃除が非常にしやすくなる。また、本体電熱部とガラス部が一体になっているが、これも外せるような仕様になると食洗機で洗えるようになって便利そうだ。

本当に美味しく淹れられるので、今後の進化に大いに期待したい。今後は茶葉の種類を増やすだけではなく、茶葉専門店などで淹れ方や温度などもリサーチしてきて世界のお茶を楽しもうと思う。(ROSETTA・木村ヒデノリ)

■Profile

木村ヒデノリ

ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】

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