JVCケンウッドは2月1日、民生用ビデオカメラの生産終了を発表。1984年から37年続いた事業に終止符を打った。現在、デジタルビデオカメラ(DVC)市場はスマートフォン(スマホ)での動画撮影が一般化してきたことやコロナ禍の影響を受けて低調な動きが続いている。過去3年の市場の動きを、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」でまとめた

DVC市場は例年、卒業・入学シーズンの3月と、運動会などが多い9月に大きく販売台数を伸ばす。2019年1月の販売台数を100とする指数では、同3月は124.0、9月は164.0を記録していた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大が市場を直撃。学校行事の中止や外出自粛の影響で20年春は売り上げが低迷し、4月の指数は38.8と前年比58.7%減に終わった。9月はやや持ち直したが、前年比38.1%減の101.6にとどまった。翌21年も市場は低調なままで、9月は61.4、12月は48.0と前年をさらに下回った。スマホによる動画撮影の広がりなどで市場規模が縮小していたところに、コロナ禍が追い打ちをかけた形だ。メーカー各社にとって、縮小市場では積極的な開発投資が難しく、需要を刺激する新製品が少なくなるという悪循環も低迷の一因だろう。

21年12月のメーカー別販売台数シェアはパナソニックが32.9%。3月以降安定的にトップシェアを維持している。12月には4KとフルHDで新モデルを投入したばかり。新製品の発売も継続している。2位のソニーは22.3%と2割以上を占めているものの、主力の「Handycam」シリーズは2018年以降、新製品を発売していない。一方で、Vlogger向けを謳ったミラーレス一眼カメラ「ZV-E10」やコンパクトカメラ「ZV-1」を発売するなど、デジカメで動画撮影を意識した製品に軸足を移している。一時期、トップ争いに加わっていたGoProは15.9%。同社サイトのダイレクト販売で加入を条件に本体価格を割り引いたり理由を問わずにカメラの交換補償に応じたりするサブスクリプションサービスが注目を集めている。この影響で量販店や一般のネット店を通じた販売は減少しているようだ。ドローン市場で世界的なシェアを誇るDJIはDVC市場でもじわじわとシェアを伸ばして11.0%を記録。現在はGoProと3位争いを繰り広げている。市場からの撤退を発表したJVCは19年1月時点では10.3%と1割程度を占めていたが、生産終了時点の21年10月には4.1%まで落ち込んでいた。現状は在庫のみの販売で、12月のシェアは3.3%だった。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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