中国戦を終えたハリルホジッチ監督の口調は、熱を帯びていた。12月9日・北朝鮮戦後に見せた淡々とした口調ではない。1-0で辛勝した北朝鮮戦では選手の低調なパフォーマンスに指揮官は激昂するのではなく、「初めて集まって一緒にプレーするチームなので、あまり厳しい目で見るべきではない」と選手たちを気遣った。熱量や怒りは、期待の裏返しである。冷めたハリルホジッチの姿は、要注意だ。
12月12日の日本代表は中国の守備に手を焼きながらも縦パスでゴールを意識したプレーを見せた。84分にFW小林悠が角度のない難しいシュートを反転しながら決め、88分にはCB昌子源が目の覚めるような40mのロングシュートをズバリ。試合終了間際にPKを献上するも、2-1でキッチリ勝点3を獲得したのだった。
ハリルホジッチ監督は試合後、開口一番「素晴らしい内容で、素晴らしい勝利だった」と称えた。世界クラスのロングシュートを決めた主将について「昌子のゴールだが、シュートというよりはクリアのように私は思った。偶然、素晴らしいゴールが決まった。それは冗談としても、ミーティングでは20~30mのシュートを狙いなさいと言っていた。ただし、昌子にはそういう指示は出していなかった(笑)」とユーモアを交えるなど、舌も滑らか。
先制点を決めた小林についても「サイドでも真ん中でもプレーできるので、かなり高い可能性で候補に入る。以前は少し軽かったが、今はかなりアグレッシブに戦える。フィジカルコンタクトも強くなった。今後もいいパフォーマンスを続ければ候補に入ってくる」と評価した。
MF今野泰幸にまさかの右SBでの代表デビューとなった植田直通、GK東口順昭らの仕事ぶりに満足し、指揮官は「A代表に入る候補が何人も出てきた。1試合目は躊躇や焦りがあったが、『君たちは能力があるから選ばれた、それを発揮してくれ』と話した。それを踏まえて、選手がしっかり我々のサッカーを表現してくれたのがうれしい」と喜びをあらわにした。
国内組の奮闘に最もモチベーションを上げたのは監督自身か。ハリルは『EAFF E-1 サッカー選手権2017』最終戦で待ち受ける韓国戦に向けて、「韓国は今大会で一番強いと思う。だが、韓国が日本に勝つのかと言えば、別の話」と語った。
韓国は『E-1』で中国と2-2で引き分け、北朝鮮に1-0で勝利。日本は引き分け以上で2大会ぶり2度目の優勝、韓国は勝利すれば2大会連続4度目の優勝となる。日本代表×韓国代表は12月16日(土)・味の素スタジアムにてキックオフ。チケット発売中。