古川雄大

 2007年にミュージカル『テニスの王子様』でデビューし、「ロミオ&ジュリエット」や「モーツァルト」などに主演してきた古川雄大。初めてのミュージカルコンサートが、4月1日から開幕する。デビューから15年間の集大成ともいえる本公演への思いを語ってもらった。

-2021年夏に予定されていたコンサートが中止となり、今回、改めて開催が決定しました。再度、開催が決まったときの気持ちを聞かせてください。

 昨年夏に中止となってしまい、応援してくださっている皆さんや、このプロジェクトに携わってくださっていた方々にご迷惑をお掛けしてしまったと申し訳なく、悔しい思いもありますが、この早い段階で再度、開催する機会を頂けたことはすごくありがたいことだと深く感謝しています。こうした機会を頂けたので、お客さまに満足していただけるパフォーマンスをしたいと思います。

-このコンサートでは、全曲ミュージカルの楽曲を披露するということですが。

 自分が出演した作品の全てに触れるようなセットリストになっています。2部構成になっていて、1部では見せることを意識し、役を演じ分けながら、作り込んだ世界観を感じていただけると思います。2部では、僕がこれまで出演していない作品の楽曲を歌ったり、踊ったり、ゲストの方をお呼びしてデュエットをしたりと、よりコンサート的な見せ方になります。全編を通して「古川雄大の歴史」が感じられるようなセットリストでお届けします。

-今回は、新しい楽曲にも挑戦するということですが、それはどういった楽曲になるのでしょうか。

 女性の曲を歌ってみたいと思っていたので、自分が歌ってしっくりくる曲を何曲か予定しています。今回は、かなりボリュームのある公演になると思います。曲数もそうですが、踊るシーンも多いので、トークが少なめのコンサートになるんじゃないかな(笑)。それぐらい全力で臨みたいと思っています。

-日替わりで毎日、豪華なゲストが出演するのも今回の公演の見どころですね。

 たくさんの方に来ていただけて本当にうれしいです。ゲストの方と何を話そうか、どうやってその場を仕切るか、僕は今、そればかり考えています(笑)。今回は、(トークの)台本なしで挑戦してみようと思っているので、僕がパニックになっている姿や、場を仕切ろうとしている姿も見どころになるのではないかと思います(笑)。

-劇場が、IHIステージアラウンド東京(周囲を取り囲む360度全てに展開するステージと、その中心にある回転する観客席が特徴の劇場)であることも楽しみです。やはり回るんですか。

 回ります(笑)。ですが、今回はお芝居ではなくコンサートなので、コンサートとして浸っていただける時間になるように、機構を生かしながらも、邪魔にならない素晴らしい演出になっています。

-公演に向けて行われている稽古を通してどのようなことを感じていますか。

 先日、ゲストで出演していただく方々とデュエットの稽古をしたのですが、久しぶりに歌うことができ、懐かしさを感じました。同時に、声が出しにくいなと思っていたところが楽に出せたりと、自分の成長も感じることができました。僕が出演していた当時は試せなかった歌い方をしてみたりもしています。そういう意味では、当時とはまた違った色が出ると思います。今回は、スタッフの方たちとも相談しながら、ファンの方が喜んでくださるセットリストにしようと思いながら選曲しました。その結果、大ナンバーがそろっています。きっとお客さまにも満足していただけるセットリストになっていると思います。

-ミュージカルの楽曲を歌うときには、どんなことを意識していますか。ポップスを歌うときとは歌い方を変えているのでしょうか。

 あまり意識して歌い分けてはいませんが、ミュージカルでは心情が歌詞になっているので、それを伝えようとする意識はポップスなどとは違うものがあるのかなとは感じています。ミュージカルのステージでは、役を演じている心情のまま歌唱するので自然と歌えるのですが、コンサートで歌うというのはどうすればいいのか分からなくて、実はずっとちゅうちょしていました。なので、今回のコンサートでミュージカルの楽曲を歌うに当たっては、その歌唱シーンをどう見せるかが大事になると思っています。

-ところで、古川さんは今年、デビュー15周年を迎えますね。改めて、この15年間を振り返ってみてどんな思いですか。

 早かったです。特にこの3、4年は早かったです。

-デビュー当時と今で、ご自身の中で一番変わったなと思うところは?

 性格は変わったかもしれません。デビュー当時は、何事にも「よし、やってみよう!」と前のめりになる明るい性格でしたが、どんどんと臆病になった気がします。それは、さまざまな現場を見てきたからで、悪い意味ではなく、慎重になりましたし、臆病になったんだと思います。

-経験を積んだことで重みが分かったということなのでしょうね。では、俳優人生の中でターニングポイントとなった作品は?

 「エリザベート」です。ルドルフを演じたことで、よりミュージカルを頑張ろうと思いましたし、「いつかトートを演じたい」という明確な目標ができました。トートは、死の概念が役になっています。その世界観が素晴らしいと感じましたし、「エリザベート」の作品のよさを改めて感じました。

-最後に、コンサートを楽しみにしている人たちにメッセージを。

 タイトルにも「vol.1」と付いていますが、今回、初めてのミュージカルコンサートですので、きっとさまざまなことが巻き起こるんじゃないかなと思います。「vol.1」と付けたからには、今後も続けていきたいという思いがあります。ですが、この「vol.1」が原点です。ぜひ「The Greatest Concert」の原点を見に来ていただければと思います。今回は挑戦もたくさんありますが、その全てに全力で挑み、最高の時間をお届けしたいと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 「古川雄大The Greatest Concert vol.1 -collection of musicals-」は、4月1日~10日に、都内・IHIステージアラウンド東京で上演。