政府が掲げる、デジタルの力で地方と都市の差を縮める「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、2022年3月末時点で5Gのネットワークの人口カバー率90%を突破したと発表したソフトバンク。しかし、最新のサービスエリアマップを見ると、大半の人は「スカスカ」という印象を持つはずだ。これでも9割超ということは、山間部の多い日本では、総人口の1割相当がかなり広い範囲に密集せずに居住しているということになる。
国土地理院は、人口集中地区(DID)のマップをオンライン(電子国土Web)で公開している。また、「地図で見る統計(jSTAT MAP)」では、国土地理院マップに先立ち、3月25日から令和2年(2020年)国勢調査に基づく、最新の人口集中地区マップの提供を開始した。人口集中地区(いわゆる都市部)を頭に入れた上でソフトバンクのサービスエリアを見ると、一見スカスカに見えても、既存の周波数帯(700MHz・1.7GHz・3.4GHz)を5Gに転用したSoftBank 5Gエリア(転用5G・通信速度は4G LTE相当)を中心に、既にかなり広範囲をカバーしていると分かる。
3.7GHzなど新周波数を利用したSoftBank 5Gエリアも3月末までに、東京都心に加え石川県金沢市や千葉県船橋市、埼玉県さいたま市の大宮駅周辺などにも拡大した。とはいえ、22年夏以降に拡大を予定するサービスエリアマップを見る限り、ランダムにエリア拡大を進めるドコモに対し、首都圏の主要駅・エリアからその外側にへ向かって徐々に拡大していくようだ。
オンライン専用ブランドの「LINEMO」のサービスエリアマップは、周波数帯ごとに提示しているため、新周波数を利用したSoftBank 5Gエリアがより視覚的に分かりやすい。このエリアマップの「3.7GHz(バンドN77)」によると、22年3月時点ではかなり限定的なサービスとなっている。
なお、サービスエリアマップはあくまで目安である。エリアマップ上では5Gエリアであっても、実際につながるとは限らない。とはいえ、スマホを購入する際、例えば、5G対応の「iPhone SE(第3世代)」と非対応の「iPhone SE(第2世代)」を比較してどちらにするか迷っているような場合は、事前にエリアマップを見てから選定することをおすすめしたい。(BCN・嵯峨野 芙美)