アップルは2022年5月10日(米国時間)、「iPod touch」の販売を在庫限りで終了すると発表した。2001年から続いた「iPod」シリーズが市場から消える。スマートフォンの普及によってデジタル・オーディオ・プレーヤー(DAP)市場は縮小傾向が続いている。これからは手ごろな価格の製品は減少していき、音にこだわりを持つユーザーに向けたハイエンドで高価格の製品に収束していくだろう。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で直近3年の市場動向をまとめた。
19年4月を「100」とした販売台数指数は、22年2月に最も低い「38.8」を記録。4月は「42.1」と、市場規模は3年前の4割程度にまで縮小している。例年、DAPは年末商戦期の12月に販売台数を伸ばすが、年々その山は低くなり、21年12月は「79.4」と沈んだ。20年4月からの前年同月比(伸び率)では、前年を上回る月はなかった。
スマートフォンには音楽再生機能もあることから、DAPの需要は減退。ハイレゾ音源対応機種やストリーミングサービス対応など、時代の変化に合わせたモデルも発売されているが市場の縮小を食い止めるまでには至っていない。07年と21年の年間販売台数を比較すると10分の1にも満たない台数まで落ち込んでいる。
現在、メーカー別販売台数シェアはソニーが70%前後と一人勝ちの状態だ。一方で、アップルのシェアは20%前後。2014年の「iPod classic」、2017年の「iPod shuffle」「iPod nano」の販売終了時には駆け込み購入が発生した。ここにきて最後のiPodともいえる「iPod touch」を求める動きが起きれば、シェアが一時的に高まる可能性はある。
アップルの抜けた穴は市場にとって決して小さくはない。ソニーは今年3月に5年ぶりの新モデル「ウォークマンWM1シリーズ」発売するなどで踏ん張っているが、更なる市場の縮小は避けられないだろう。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
<% bcn_video1 %>