シンフォニック・ジャズはオーケストラが演奏するジャズ。ジャズ作曲家の挾間美帆がプロデュースする、映画とジャズをテーマにした「TOKYO JAZZ 2022 NEO-SYMPHONIC!CHINEMA JAZZ」が8月19日(金)東京芸術劇場コンサートホールで開催される。
「TOKYO JAZZのお祭り感に合うテーマとして、新しい映画音楽を選びました」
「新しい」というのがミソで、奇しくもこの1~2年、ジャズと映画を結ぶホットな話題が相次いでいるのだと語る。
「スピルバーグ監督が『ウェスト・サイド・ストーリー』をリメイク。ディズニーの『ソウルフル・ワールド』のサウンド・トラックはジャズ・ピアニストのジョン・バティステです。そしてジャズ界隈では大騒ぎになったんですけど、スパイク・リー監督の映画音楽でも有名なジャズ・トランペッター、テレンス・ブランチャードのオペラがニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)で上演されたのです」
バティステは、先日発表された今年のグラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞した注目アーティスト。ブランチャードのオペラ《Fire Shut Up in My Bones》は、METの歴史上初の黒人作曲家の作品として話題を呼んだ。
「映画にまつわるセンセーショナルなニュースがジャズから次々に出てきた。音楽がボーダーレスになってきた証拠。今知ってほしい音楽、今起こっていることをプレゼンテーションしたいと思います」
自身もその波に乗る。
本年度の日本アカデミー賞最優秀音楽賞の『竜とそばかすの姫』(監督:細田守/音楽監督:岩崎太整)は、シーンごとに異なる音楽家を起用する独特の方法で作られた。挾間もその一人。
「音楽家それぞれがインスパイアされて、それぞれのシーンが出来上がる。すごくいいんです」
さらに、もはや伝説の『新世紀エヴァンゲリオン』(音楽:鷺巣詩郎)。そのジャズ・アルバムのための編曲にも参加した。
もともと、大河ドラマの音楽を書きたくて作曲を学んだ。「動くものに音楽をつけることには並々ならぬ愛があります」と言い切る。
共演は今回も東京フィルハーモニー交響楽団(指揮:挾間美帆)。ヴォーカルの中村佳穂(*公演全編にわたっての出演ではありません)のほか、ジャズ界から、石若駿(ドラム)、江﨑文武(キーボード)、黒田卓也(トランペット)、須川崇志(ベース)も参加予定。ジャズとシネマが交差する、その最前線を楽しませてくれるはずだ。
(宮本明)
石阪大輔
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