コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)の平均単価が上昇している。今年2月、初めて3万円台に突入した。スマートフォン(スマホ)の普及に押され、市場の縮小傾向が続くコンデジ。メーカー各社は低価格製品を終息させながらラインアップを絞り込んでいる。生き残ったのはスマホと競合できる高付加価値製品だ。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で市場の動向をまとめた。
コンデジの平均単価は2019年5月から20年5月まで2万5000円前後で推移していたが、6月に2万9100円に急上昇。12月、一時的に2万5000円を下回ったものの、その後は2万6000円~2万9000円前後で推移した。22年2月には初めて3万円を超え、直近の5月でもほぼ3万円の水準を維持している。こうした単価上昇のきっかけをつくったのは20年6月にソニーが新発売した「VLOGCAM ZV-1」。動画撮影に特化した機能と、「VLOG」という新しい切り口が話題を呼んだ。10万円前後の価格ながら発売月から14か月連続して販売金額ランキングで1位を記録。コンデジでは久々の大ヒット商品になった。このほか、光学30倍ズームという強みを持つソニーの「Cyber-shot WX500」や、高い耐久性を備えたOMデジタルソリューションズの「OLYMPUS Tough TG-6」のような3万円以上の製品も上位にランクインし続けている。
19年のコンデジ市場はキヤノン・ニコンの2社で6割以上を占めていた。その後、スマートフォンの普及と搭載カメラの高性能化に伴って、コンデジの需要が急減。ツートップの一角ニコンを中心に、低価格モデルのラインアップ整理が続いた。コンデジ全体の販売台数も、3年の間にほぼ6割縮小。結果的に、安価な製品の割合が減少し、高単価な付加価値製品の比率が高まった。コンデジとスマホとの競合が続く中、今後もこうした傾向はより顕著になっていくと思われる。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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