強くて自由な女性の精神を、自分たちなりに解釈して体現している
――アットホームでDIYな弾けないバブル、素敵ですね。ライブも世代が広がっていますが、たとえば、朝日新聞社の女性向けウェブサイト「かがみよかがみ」でも「ベッド・インのパジャマパーティー!」というコラムを連載しているじゃないですか。先日放送されたテレビ番組『水曜NEXT!』の「もっと評価されるべき審議会」でも、女性のお客さんの多さが注目されていましたし。
そういうメディアでのご活躍をを拝見すると、同性から頼られる存在になっているというように感じます。
ちゃんまい:レトロブーム的な感じでバブル時代のファッションや見た目の部分はもちろんですけど、「自分たちの好きなことを自由にやっていいんだ」という精神的な部分を、女の子たちがキャッチしてくれているのかなと感じますね。
かおり:よく感じるのは、みんな「イイ子ちゃん」でいることに疲れているんだろうなぁと。自分を抑制しないといけない環境のなかで、どこかで解放を求めていたり、心の本質的な部分が疼いているんだと思うんです。
「昔は周りの目を気にして、好きなことができなかったり言えなかったりしたけど、ベッド・インと出会って自分の好きなものを堂々と肯定できるようになりました!」というお手紙を貰うことも多くて、そんな風に少しでも背中を押すことが出来ているなら感無量ですね。バナナの涙…!
ちゃんまい:私たちは普段から、我慢してないですからね〜。
かおり:そう! 誰からも求められていないのに、ZUTTOハイレグ水着も着続けてるしね♡ ミートテックが芳醇な、こんな体型だけど!(笑)
――「こんな体型」だなんて思ったことないですよ!
ちゃんまい:いやいや、ベッド・インの衣装を誰もが憧れるプロポーションの方が着ていたら、また印象が変わると思うんですよ。だから、卑下しているわけじゃなく、ちょうどいい体型という意味での「こんな体型」なんです、我ながら(笑)
かおり:DA.YO.NE~! 純粋に体型よりも「憧れのバブル時代のハイレグ水着が着たい!」って感情が先行して、ただ自分が着たいモノを好きで着ているだけなんですけど、そこに親近感を持ってくれたり「勇気が出ました!」みたいな声もいただくこともあるのでクリビツでしたね。
ウチら、水着を着るからって食べたいものを我慢したりもしないんです♡ 何なら本番直前でも、大盛りのカレーとかパックンチョしますからね!(笑)
ちゃんまい:そういうところ気にしないよね、それはバブル時代へのリスペクトでもあるんですよ。バブル時代の人々は、自由に欲望を謳歌していた時代のように自分には映っていて。
「カンチ、セックスしよ?」の名言通り、自分から男性にモーションをかけちゃうくらい性欲も隠さないし、食欲も隠さないし、性欲も隠さない…あ、「性欲」って2回言っちゃった! セキメ〜〜〜〜〜ン///// そう、だから、皆さん、そういうところに共感してくださっているのかもしれないですね。
――とはいえ、実際のバブル時代は男女雇用機会均等法も始まったばかりで、現実社会の中にはさまざまな壁もあったと思うんです。そのなかで、リアルタイム世代ではないからこその、ドラマに出てくるような自由を謳歌する強気な女性像のような、バブル時代のいいイメージを凝縮した「理想のバブル」を体現されているのかなと思います。
かおり:そうですね、私たちはあくまでもバブル時代はリアルタイムでは体感してない世代なので。後追いでバブル文化に憧れて、強くて自由な女性の精神を、自分たちなりに解釈して体現していて。
たとえば、私は特に、当時お立ち台で踊っていたお姉さま方が、パンチラしようがメンズからどう見られようが気にせずに、自分自身が輝けてABCDE気持ちになれる姿で夜な夜な踊っていたという精神にビビッときて。逞しくてカッコよくて、ゲロマブな生き様だなって!
ちゃんまい:私は昔からトレンディドラマがDAISUKI!で、それこそ、女性が社会で男性と肩を並べてガンバルンバしているところに感動したし、そういう恋も仕事も全力投球な女性像に惹かれていたんです。だから、かおりさんと出会ったときも、ドラマ『抱きしめたい!』みたいな感覚だったんですよね。OLふたりがアフター5に待ち合わせして、自分たちにご褒美でちょっと良いお店予約して、お酒飲んで「おつかれ〜♡」みたいな。そんなノリで遊んでたんです。
かおり:わっかるぅ~!「テルホでパイカンしたいよね~」なんつって、ふたりで一緒に恵比寿のウェスティンホテルに泊まったこともあったね〜!
――高級ホテルじゃないですか〜!
ちゃんまい:やっぱり、そういう文化とか、オトナなナオンに憧れていたんですよね。
かおり:かと思えば、赤提灯の居酒屋でもゴックンするし、下ネタもじゃんじゃん言う、バブル時代の「おやじギャル」みたいなイキフンを地でイク、みたいな所はふたりとも昔から共通してるよね♡
お互い女子校育ちだから、周りの目を気にせずスキスキスーなことに正直で、性に関する話しもあけっぴろげでオープンマインドだったり! 元々持っていた自分たちの性分とバブル文化のマインドがリンクした部分も大きいと思います。
――そしてベッド・インといえば、バブル時代、あるいはCDバブル時代を彷彿とさせる楽曲も魅力です。当時の売れ線のヒットソング、とくにロックはあまり後世から評価されてない感もあります。そこにベッド・インはスポットライトを当てているというか。
ちゃんまい:本当にそうなんですよ。一番最初にバブルに興味を持ったとき、どんなに調べても、あの頃の音楽に言及している人がとにかく少なくて。私自身のベッド・インの活動のキッカケでもあるんですけど、「こんなに面白いのに、こんなに素敵なのに、なんで誰もなんも言ってないんだ!もったいない!」ってずっと思ってましたし、今でも思っています。
シティーポップや80年代アイドルは再評価されて、セクシーアイドルの楽曲はなぜ再評価されないんだ、とか、フリッパーズギターは評価されてる気がするけど、ビーイング系はなぜ……みたいなことを考えちゃうんですよ。
個人的にはバブル時代のあの熱量と、失敗すら許せるような世の中の度量があったからこそ、面白くてクォリティの高い作品がバッコンバッコン生まれてたと思うんですけどね。それを自分たちの感覚で昇華して、自分たちの音楽にできたらいいなと思っています。焼き回しじゃツマンナイですから。
かおり:時代から置き去りにされてしまっている曲たち、まだ再評価の光があたってない曲たちの、グッとくるGスポットを探すのもまた、ハッとして、Good!なんです!
当時の作品って、先入観や色眼鏡を取り払って、まっさらな感覚で聞くと、すごく面白いサウンドや歌詞が多かったり、アートワークにも遊び心があったり。その感覚はZUTTO、大事MANにしているし、自分たちの作品にもエッセンスを注入しているつもりです♡
ちゃんまい:最近よく言うじゃないですか、「最近の若い子はサブスクで1曲ずつしか聴かない」みたいな。それを淋しい熱帯魚に思う気持ちもあるけれど、でもそれは反対に考えると、自分の感覚に刺さるものを選んでいるってことでもあるのだから、とても面白いことだと思うんです。
だから、バブル時代の音楽も「ちょっとダサい」みたいな先入観がないまま、また再評価されるチャンスもあるんじゃないかな……とコッソリ期待しています♡