液晶テレビと有機ELテレビを合計した薄型TV市場の販売台数を指数したところ、市場は緩やかに縮小していた。また、平均画面サイズでは大画面化の進行が、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から明らかとなった。
2019年3Q(7-9月)の薄型TVの販売台数を「100.0」とした指数を算出した。同四半期では消費増税前の駆け込み需要が発生していたため、若干高い水準となっている。翌4Q(10-12月)は、年末商戦により底堅い需要に支えられるはずであったが、駆け込み需要の反動減により台数指数は76.0にとどまった。また20年には東京五輪が開催される予定だったが、延期になったため、2Q(4-6月)の台数指数は88.9だった。ただし、長引く巣ごもり需要の後押しもあり、20年3-4Qは基点とほぼ同水準まで持ち直す。その後21年は一度も基点を上回ることなく推移、22年2Qの台数指数は69.3と直近3年間の中では最も低い水準になった。
平均画面サイズでは、消費増税の反動で大画面製品の販売が増えず、19年4Qは40.2"だった。年末商戦を含む4Qは、大画面TVの販売が増加するため、20年は42.9"、21年は43.6"というように平均画面サイズは一年で平均画面サイズは最も大きくなるのが一般的だ。一方、毎年1Q(1-3月)は新生活に備え、小型TVの販売が増加するため、平均画面サイズは一年で最も小さくなる。しかし最近の動向をみると、20年は40.2"、21年は42.1"、22年は42.9"と着実に大画面化している。これは製品のラインアップが大画面化しているということも一つの要因だ。22年2Qの平均画面サイズは43.7"で、19年3Q以降最も大きい値となっている。
20-21年のコロナ禍により、在宅期間が増えたことに加え、特別定額給付金の支給で、薄型TVの買い替え・買い増し需要が喚起されたが、その後の21年3Qから22年2Qに亘る一年間は、前年の同四半期を上回ることはなかった。先日JEITAが発表した出荷台数でも、21年7月以降は前年を下回っており、メーカー側も出荷台数を絞っている。また、材料費などの高騰により値上げを発表するメーカーも出てきており、需要増を見込むプラスの要因は少なく、薄型TV市場にとって、今後も厳しい状況は続く。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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