水沼宏太(横浜F・マリノス) (C)J.LEAGUE

優勝どうこうではない。横浜F・マリノスとしては、ただこの試合に負けるわけにはいかない。浦和レッズを迎え撃つ『明治安田生命J1リーグ』第33節はホーム最終戦である。しかも、優勝を目前にしてから、ホームで連敗。今季日産スタジアムで無敗だった横浜FMは第32節・ガンバ大阪、第27節・ジュビロ磐田にまさかの2連敗を食らった。残留争いを強いられる2チームを試合内容で圧倒しながら、G大阪戦はGK東口順昭の牙城を崩せずセットプレーから2点を献上して0-2、磐田戦もフィニッシュの精度を欠き終盤にカウンターで一瞬のスキを突かれて0-1……。ホーム3連敗は許されない。

さらに相手は浦和だ。前回の悔しい引き分けの決着戦でもある。5月18日の第11節はファン・サポーターに悪夢として強烈に記憶されていることだろう。序盤から主導権を握った横浜FMは12分に右ウイング水沼宏太、19分CFアンデルソン・ロペス、30分左ウイング宮市亮と効果的にゴールを積み重ね、試合を決めたに思われた。しかし、後半早々浦和に1点返されると、試合終盤にキャスパー・ユンカーが立て続けにゴール。劇的ハットトリックで痛恨のドローに持ち込まれたのだった。

大詰めでの足踏みで2位川崎フロンターレの勝点差は2まで縮まってきた。それでも自力Vは横浜FM次第である。指揮官はブレない。10月12日の磐田戦後、ケヴィン・マスカット監督は「次の試合までだいぶ時間がある。できていたことをポジティブに捉え、結果は結果として受け止める。まだリーグ戦が終わったわけではない。焦らずやっていきたい。ここまでずっと1位をキープし、今もまだ1位。ここで諦める必要はないし、この部屋を出た瞬間に切り替えて次の準備に取り掛かりたい」とキッパリ。

相手の浦和は8位、言わば無風状態である。崖っぷちのG大阪や磐田のようなやり辛さはないが、浦和にも負けられない理由がある。横浜FMは今節優勝決定の可能性を残す。川崎Fがヴィッセル神戸と引き分け以下に終わり、横浜FMが勝利すれば3年ぶり5度目の『明治安田J1』制覇が決まる。浦和は昨季、目の前で川崎Fの連覇を見せ付けられた。試合終盤に右SB酒井宏樹が同点弾をねじ込んだが、2位横浜FMがG大阪に0-1で敗れたため、歓喜の瞬間に立ち会わされたのだ。浦和としては、2年連続でシャーレを掲げる相手を見るわけにはいかない。

果たして、横浜FMが優勝への重圧を跳ね返して白星を獲得するのか、このままずるずるプレッシャーに飲み込まれてしまうのか。『明治安田J1』第33節・横浜FM×浦和は10月29日(土)・日産スタジアムにてキックオフ。東西入場ゲートでは監督・選手の自筆メッセージ入りポストカードを無料配布。チケットはチケットF・マリノス(Jリーグチケット)にて発売中。試合の模様はDAZN、NHK総合にて生中継。