兵庫県立美術館学芸員の岡本弘毅氏 兵庫県立美術館学芸員の岡本弘毅氏

3月4日(土)より、兵庫県立美術館にて恐竜など古代生物を描いた特別展「恐竜図鑑-失われた世界の想像/創造」が開催される。恐竜展ときけば化石などの展示中心と思われがちだが、本展は化石などの学術的根拠に基づいた古代生物を描く、パレオアート(古生物美術)の世界にスポットを当てた美術展になっている。恐竜絵黎明期である19世紀の復元画をはじめ、20世紀に活躍した恐竜絵の2大巨匠といわれるチャールズ・R・ナイトやズデニェク・ブリアンらによるエポック的な作品や最新の恐竜絵など、世界各国から取り寄せた150点以上の作品が集結する。今回の企画を担当した兵庫県立美術館学芸員の岡本弘毅(こうき)氏に、パレオアートの魅力や本展の見どころなどを聞いた。

特別展「恐竜図鑑-失われた世界の想像/創造」 チケット情報

「もともとパレオアートとは、発見された骨の化石を基に博物館や古生物学者が古生物の想像画を画家に依頼した復元画のこと。19世紀の前半、『恐竜』と名付けられる骨の化石が発見されて以降、恐竜の復元画が多く描かれ、新発見のたびに新しい恐竜像がイメージされて世間に広まりました。もちろん生きている恐竜は誰も見たことがないわけですから、動きや皮膚感などは学者とアーティストの想像によるものです。新発見のたびに学術的根拠も変わるので、その時代時代の恐竜像の変遷が観られるのも魅力です。もしかしたら今私たちがイメージしている恐竜も、今後の新発見によって変わっていくかもしれませんね」。

今回展示されている20世紀に活躍した2大巨匠の恐竜絵は、その後の恐竜映画や怪獣映画などにも影響を与え、一般に恐竜のイメージを定着させたともいわれている。その貴重な恐竜絵の原画が見られるのも本展の見どころのひとつだ。

「『美術館で恐竜鑑賞?』って、あまりイメージできないかもしれませんが、恐竜絵も昔の変わった絵から最新の研究に基づく今日の絵までいろいろ存在します。昔の絵が間違いというわけではなくて、昔は昔で見つかった化石など限られた情報からアーティストが想像を膨らませて恐竜を描いたのです。その時代時代のアーティストが描くイマジネーションの世界を楽しんでほしいと思います」と岡本氏。

図鑑を広げるようなワクワクした感覚で各時代の恐竜絵を楽しみつつ、太古の世界へも想像を膨らませ自分なりの恐竜像を創造してみては。開催は5月14日(日)まで。チケット発売中。

取材・文・撮影(岡本氏)/滝野利喜雄