世界一の大玉花火として知られる四尺玉。視界いっぱいに広がる超ド級のこの花火が、10月12日(土)に埼玉県鴻巣市で開催される第12回こうのす花火大会でお目見えする! 関東圏で四尺玉が打ち上げられるのは、今回が初となる。
三尺玉でも十分にインパクト大だが、四尺玉は、花火師の高いスキルはもとより、周りの環境、予算など、いくつもの難関を突破しないと実現できない花火界の王様で、そう簡単に上げられるものではない。
しかも、こうのす花火大会は、行政主導ではなく、鴻巣市商工会青年部の有志による民間のイベントだから、四尺玉打ち上げを決行するなんて、もはや“事件”なのだ。こうのす花火大会実行委員長の細川英俊氏に、四尺玉初挑戦に至るまでのイバラの道のりについて話を聞いた。
四尺玉の花火大会といえば、NHK連続テレビ小説『こころ』や映画『おにいちゃんのハナビ』でフィーチャーされた新潟県の小千谷市の片貝まつりが有名だ。
でも実は、世界でもここでしか成功していない。それもそのはず、四尺玉は打ち上げの高さ地上800m、直径800m、玉の大きさ直径約120cm(四尺)、玉の重さ約450kg、打ち上げ筒高さ6m、重さ10tと、どれをとってもケタ外れの規模だからだ。
先日、四尺玉の試験的な打ち上げに成功したが、細川氏によると「今までにない音だった!」と言うくらい、衝撃もすごい。だからこそ、プロジェクトを始動してみると、行く手には、次から次へと高いハードルが立ちふさがった。
まずは、法の壁だ。「埼玉県の県条例では、四尺玉の基準はなく、国内では、新潟市、長岡市、小千谷市と、新潟県などしか基準はなかった。その後、消防署や県に掛け合い、ようやく昨年の11月の終わりに四尺の基準が制定されました」。
打ち上げにあたり、安全を確保するための保安距離も広げなければいけなかった。幸い、会場は川幅日本一の荒川の河川敷だが、ここでは別の問題が発生。
「これまでは半径600mでしたが、四尺になると+100m、直径1.5kmが必要です。今までは鴻巣市内に収まっていたけど、今回は川を渡り、隣町までに及ぶ。どうしてもおらが町の花火大会じゃないから、隣町の方々からは『うるさい。迷惑だ。車もゴミもすごい』と言われ、最初は門前払いで、塩をぶちまけられたような感じでした。でも、月に何回も通う内に、『お前らがそれだけ頑張っているんだから、しかたないな』とだんだん軟化していき、その内にいろんな関係者を紹介してくださるまでになりました」。