家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」によると、年度末商戦のスマートフォン市場において、3大キャリアの力関係に変化があらわれていることが明らかになった。
スマートフォン市場は年度末の3月に販売台数のピークを迎える。2022年12月第1週から23年3月第4週までのキャリア別販売台数シェアをグラフ化したところ、SoftBankとauのシェアは右肩上がりになっている。しかし、docomoは23年に入ってから徐々にシェアを落とし始め、3月に入ると20%を下回る水準で推移し、第4週には14.6%まで落ち込んだ。
首位争いを展開するSoftBankとau、シェアを落とし続けているdocomoにおける製品の売れ筋を比較してみた。SoftBankとauは「iPhone 13」と「iPhone SE(3rd)」に加え、Googleの「Pixel 6a」の3機種でシェアを稼ぎだしている。一方のdocomoは、2月の第4週以降「iPhone 13」と「iPhone SE(3rd)」の販売台数が減少しており、そのままシェアの低下につながっていることが分かった。この動向から、iPhoneとPixelの販売がキャリア別販売台数シェアを左右することが鮮明になった。この3機種は廉価販売の対象になっており、それが市場活性化に一役買っている。
2月に公正取引委員会は携帯電話端末の廉価販売に関する緊急実態調査の結果を発表した。今後廉価販売に対し監視が厳しくなっていくだろう。端末価格の過度な割引きがなくなることで、販売鈍化や買い替えサイクルの長期化が引き起こされ、再び市場が冷え込むことは想像に難くない。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
<% bcn_video1 %>