日用品や食品の様々な商品が毎月のように値上がりしている。デジタル家電市場においても値上げが顕著だ。半導体不足などを理由として、ノートPC市場全体の平均単価は、15%近く上昇していることが家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかとなった。
ノートPC市場の直近3年間の平均単価推移を算出した。2020年3月は10万7400円で、その後の5-8月の4か月間は11万円超で推移、しかし9月から年末にかけ、セールなどの影響もあり下落に転じる。年明けの21年1月に9万6300円と3年間で唯一10万円を下回ったが、同年3月は前年とほぼ同等の10万6100円に戻った。コロナ禍による半導体不足が顕在化した10月から平均単価は上昇し、22年に入っても止まらず、23年3月は12万3400円に達した。3年間で1万6000円(14.9%)も上昇したことが分かった。
ただし、ノートPCの平均単価は、スペックの変化で変動する。例えば、Core i7やRyzen 7などハイスペックCPUを搭載した製品の構成比が増えると、必然的に平均単価も上昇する。そこで、機種別ランキングで上位に位置する、NECのLAVIE N15シリーズに焦点をあて、前後のモデルの平均単価と販売台数構成比の推移を調べた。
NECのLAVIE N15シリーズの21年秋冬モデル、22年夏モデル、23年春モデルの3モデルにおける、平均単価とノートPC市場における販売台数構成比を調べてみた。21年秋冬モデルは21年10月に初登場。当初の平均単価は11万7600円、その後も10万円を少し上回る水準で推移、現在も売れているが10万600円と平均単価の変動は少ない。後継の22年夏モデルは22年7月に平均単価15万9800円で登場、前モデルよりも4万円超高い水準。22年12月には13万2000円まで値を下げ、販売台数構成比は12.7%に達した。23年3月の平均単価は12万8300円で9か月で3万円超の下落だ。23年春モデル初登場時の平均単価は17万9800円で、前モデルと比較すると2万円ほどの値上がりとなっている。同一スペックにおける初登場時の平均単価を比較すると、約一年半で6万2000円(52.9%)も上昇したことになる。
このまま平均単価の上昇が続くと、より安価なタブレット端末やスマートフォンへと需要が流れ、ノートPC市場の縮小は避けられない。PCにおける半導体不足の声は一時期よりも沈静化している。更に、一時期の1ドル150円に達していた為替レートも、現在は130円台半ばに落ち着いており、今後発売されるPCの価格は落ち着くはずだが、今のところ平均単価が下落する予兆はあらわれていない。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
<% bcn_video1 %>