内田也哉子 撮影:源賀津己

 2023年の母の日は5月14日(日)。その直前、10日(水)にLINE CUBE SHIBUYAで一晩限りの音の宴を楽しみませんか? この日集うのは、ホスト役の森山直太朗をはじめ、手嶌葵、平原綾香、Little Glee Monster、そしてピアニスト・桑原あい。
 森山と共にオーディエンスに寄り添うのは、ストーリーテラーの内田也哉子。「これだけ稀有な存在感をもった方々の歌声を一堂に会し、じっくり聴ける機会は、なかなかないのでは? 平原さんは一声発しただけで別世界に連れていってくれるような深い低音が魅力。手嶌さんも透明感や懐かしさのある歌声で、独特な世界観を創り上げてらっしゃる。Little Glee Monsterの皆さんもハーモニーがまるでオーケストラのようで、楽器としての声の美しさや華やかさがある。桑原あいさんもまるで指揮者のようにライブ全体を終始ピアノで彩ってくださる」という。
 そして昨年のこのコンサートが初対面だったという森山については、「例えば『さくら』は誰しもこの曲との思い出があるでしょう。そして昨年発表された『素晴らしい世界』は今までとまた違う世界観で、直太朗さんがアーティストとしても人としても更に深まり、世界に羽ばたいていくような魅力が詰まった曲」と絶賛。彼の弾き語り公演にも足を運び、「削ぎ落とされた圧倒的な声の力で、まさに“歌うたい”の素晴らしさを味わいました」と絶賛。
 また、エッセイストとして活躍する内田は「昨年は散文を書きおろし、朗読をしました」。今年も同様の趣向があると思われ、内田の言葉が紡ぐ世界にも注目したい。自身も音楽と文芸という「違う畑の人間が出会って何かを創り出す面白さもあって、普通のコンサートとはかなり雰囲気が違う、特別な場所になっているのではないか」と期待しているそう。
 ちなみに2018年に亡くなった母・樹木希林との母の日の思い出は、子どもの頃に手書きのメッセージカードを作ったことだそう。女優として多忙な樹木には直接渡せず、机の上に置いておいたという。「最低限の物しか手元に置かない人だった」樹木がずっと大事にとっていたそうで、やはり娘からのメッセージはとても嬉しく大切な宝物だったのだろう。
 内田と森山は、演奏の合間のトークタイムでこういった話題にふれる機会も。「お母さんに対する想いを伺う機会は、あまりないですよね。アーティストさんの素顔が垣間見られる、このコンサートの醍醐味ではないでしょうか。いらしてくださった皆さんにとっても、魅力的な音と共に自分の歩いてきた道のりを振り返るような親密な時間になるのでは。ぜひ足を運んでいただけたら、会場を後にした時にはきっと充足感に満たされているのではないかと思います」

取材・文:金井まゆみ