そもそもの子さんはずっと、配信を行うことにこだわりを持っていた。それがかまってちゃんの個性だという本人の発言もよく見かける。まだ神聖かまってちゃんが無名のころ、2ちゃんねるのバンド板を荒らしていた【2才^@^】こと、の子さん。当時彼がアップした『ロックンロールは鳴り止まないっ』はめちゃくちゃに叩かれていたし彼自身もひどい言われようだった。それでも住人に応戦していったの子さんは、「死ねとか言われるのは怖いし、IP抜かれて家に来られたりしたら怖いよ」と言いながら、それでも「いまのライブハウスの馴れ合いよりも、ここで忌憚ない言葉をぶつけられる方がよっぽどリアルに思える」というような発言をしていた。この発言こそ、彼らがネット配信にこだわる理由だとわたしは思っている。

では、アリーナの発言しか拾わないニコ生コメントだとしたら、果たして大画面で見せる必要があるのか。ましてそれがプレミアム会員のほうが反映に有利なんだとしたら。モニターで実況コメントを共有しながら、遠くからじゃ見えづらいメンバーの表情を眺めながらライブをみるのは実に面白い。だけど、彼らが本来求めていた実況配信の可能性との、微妙なすれ違いを感じてしまった。

「メモライザやりたいんだよ、俺は!!」といってなんとな~くアンコールがスタート。歌詞を覚えていないの子さんに対して歌詞職人さんがコメント欄に歌詞を書き込んでいく『夕暮れメモライザ』。ぐだぐだだったけど、在宅で書き込みをしてるリスナーが演奏を引っ張っていくさまに、実況配信の可能性を感じた。演奏が終わったあと職人さんが「ごめんね……」「がんばったんだけど……」とコメントしたのも含めてすごくよかった。しかし、配信ですら本当の言葉が拾えず、思うように瞬間のピークを捉えられず、ただ時間と音楽が通り過ぎていく現実にの子さんは、苛立ちを隠せないようだった。ピリピリ感が増すステージの4人。

そんなときにちばぎん氏が「次の曲決まってなかったら、ロックンロールはどうですかね?」と発言。大いに沸きあがる会場。途端にいっそう険しい表情になり「チッ」と舌打ちをするの子さん。「ほんっとにムカツクんだよっ」と吐き捨てる。彼らのレパートリーでももっとも盛り上がる『ロックンロールは鳴り止まないっ』を、ここで演奏しようというのは、アーティスト側の粋なサービス精神だと思うし、演奏していたら間違いなくメラゾーマがみれたと思う。

しかしこの現状を打破するために、そんな簡単な方法でかまってちゃんをこなしたくなかったのか、の子さんはちばぎん氏、monoくんがしゃべってる間の一瞬に「地球人みたいな顔してんじゃねーよ!」と発言し、『Os-宇宙人』を始める。もちろん演奏を始めると、全員が違うイントロを弾いている。演奏が止まる。「“地球人みたいな顔してんじゃねーよ”て言ったら 『Os-宇宙人』 だろう! お客さんはみーんなわかってたぞ!!!!」と無茶な要求を始めるの子さん。monoくんとの口論にちばぎん氏、みさこさんも巻き込んでますますメンバー間との断絶が深まる。