バナナマンの設楽統(左)と日村勇紀

 1980年代にブームを巻き起こし、海外でも熱狂的なファンを生んだ視聴者参加型アクションバラエティー番組「風雲!たけし城」が、34年ぶりに復活し、Prime Videoで独占配信中だ。令和版では、総勢300人以上の攻撃軍が、難攻不落のたけし城を目指して、さまざまな仕掛けが施された“無理ゲー”に挑戦する。番組で「たけし城」の家老と家臣を務めるバナナマンの設楽統と日村勇紀に、番組の見どころやオリジナル版を見ていた当時の思い出のほか、日本のバラエティーが世界進出することへの思いや野望を聞いた。

-お二人は「風雲!たけし城」の大ファンだと聞きました。出演が決まったときの心境はいかがでしたか。

設楽 当時の「風雲!たけし城」を見ていたので、うれしかったです。日村さんとコンビを組んだときに、「俺は将来、『たけし城』みたいな『おさむ城』をやりたいんだ」という話をしていたぐらい好きだったので、復活するだけでもうれしいのに、それに出演できるなんて、いいのかなと思いました。

日村 (設楽から)「おさむ城」をやりたいというのを聞いていたので、「たけし城」に関われるのは感慨深いものがあります。34年前の「たけし城」は、超人気の(ビート)たけしさんがすごいことをやっているというので、とにかく盛り上がっていました。みんなの憧れの番組だったので、そこに出演できるのも不思議な感じでした。

-34年前に「風雲!たけし城」を見ていた当時の思い出を教えてください。

設楽 僕たちは中学生ぐらいだったのですが、周りで見ていない人なんていないのでは? というぐらい、みんなが見ていましたし、攻撃隊長の谷隼人さんの「行けー!」という号令は、よくまねしていました。

日村 ボールをバーンッと投げて「ジブラルタル海峡」のまねをするのがめちゃくちゃはやりました。「ジブラルタル海峡」という名前も、これで覚えましたし。ただの石を飛び越えるときも「竜神池!」なんて言いながら飛び越えたりしていました。学校の休み時間とかに、よくまねしていたなと思います。

-今回、たけしさんとの収録で印象に残っていることはありますか。

設楽 過去にも、たけしさんとお仕事をさせていただいていますが、「たけし城」の殿としてのたけしさんは特別で「殿が来た!」って感じで違いましたね。殿が登場して、こっちに向かって歩いてくるシーンでは、オーラがすごくて、膝がガクガク震えて気を抜くと気絶しそうでした。

日村 全く一緒で、たけしさんがスタジオに現れたときは「あの殿が来た!」という感覚で迫力がありました。殿と谷隊長が2人で話されているのも感動的でした。本番が始まると、たけしさんが自由奔放でハチャメチャなので、僕らは「殿!」と言うしかなくて。これは何とかだ、あれは何とかだとオンエアで使えないようなことも言ったり、本当に殿がさく裂していました(笑)。

-昭和から令和になっても、みんなが楽しいと思える「たけし城」の魅力は、どんなところにあると感じますか。

設楽 一般の参加者の方も、たけし軍側で出演している芸人も、みんな泥だらけになったり、水浸しになって体当たりでやっていて、本当にみんなが楽しんでいるんですよね。「たけし城」は有名なお祭りの一つぐらいの感覚があって、盛り上がりがすごいなと思います。今回は参加者も34年前に出ていた人が、子どもができて親子で一緒に参加するとか、海外の「たけし城」マニアの方や研究家など、本当にいろんなチャレンジャーが来たので、改めて「たけし城」は、すごく好きな人がいっぱいいるし、世界中の人が見ていたんだなと思って感動しました。

-令和版のアップデートされた魅力はありますか。

日村 ゲームがとにかく難しい“無理ゲー”なんです。鍛え抜いたらクリアできるとか、そういうことでもなくて、誰でも参加できて、誰でも行けそうで、でも、絶対にクリアできないという、ここの魅力はすごいと思います。

-今回、番組に関わったことはお二人にとって、どんな経験になりましたか。新たに芽生えた野望があったら、聞かせてください。

日村 経験で言うと、もう半端ないでしょうね。今まで参加したあらゆるバラエティーの中で、ここまでの規模のものに参加したことがないですし、もう天井を見たんじゃないかなと思っています。

設楽 「おさむ城」をやりたいと言っていましたが、「たけし城」がシーズン1、2…と続く可能性が出てきたら、「たけし城」をいっぱいやってきたいなという野望は芽生えました。

-この番組をきっかけに“世界のバナナマン”に、という期待もありますか。

設楽 絶対ならないでしょう(笑)。でも世界配信ですもんね、なるかな?

日村 普段からこういう(ふん装の)2人って思われるってことですよね、これでやるしかない。

設楽 そうしたら宣材を撮り直しますよ。その方が海外の人にウケますよね。でも、毎回これ(かつら)で長時間だと、頭が痛くなっちゃうな(笑)。

-お二人は、日本のお笑いやバラエティーを海外に発信していきたいという思いはありますか。

設楽 日本のテレビのバラエティーは、元気で面白いものを作っているんだぞと知らしめたいですよね。当時の「たけし城」もいろんな国で放送されていたように、今回もいろんな人から「おまえ、見たぞ」と言われるようになったら、うれしいです。

-「たけし城」のほかにも、海外に発信したらいいなと感じている番組はありますか。

設楽 日本のバラエティー番組は構造的に優秀なものがたくさんあるんです。われわれはそういうものを見ていた世代なので、今後は昔の番組のリメークも増えるんじゃないかなと思います。「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」も復活したら芸人が喜びますし、言葉とか笑いの文化の壁を超えるものだったら、どんどん行けると思います。

日村 「ウルトラクイズ」は最高のエンターテインメントですから。やっぱりたけしさんってすごい方ですね。

(取材・文・写真/小宮山あきの)